JFE商事ブリキセンター、新本社工場を建設へ レベラー工程をクリーンルーム化

 ブリキコイルセンター(CC)のJFE商事ブリキセンター(本社・大阪府大東市、社長・清末浩史氏)は安全性や生産性の向上、また老朽化対応およびレベラー工程のクリーンルーム化を狙いに新本社工場を建設する。

 同社の加工・生産拠点は、本社工場および松原工場の2カ所。新工場は現本社工場の近隣に建設し、これに伴い松原工場は閉鎖する。松原工場跡地は売却する予定。新工場の敷地面積は5千平方メートル。また、現本社機能は新工場に移管する。今年8月にも着工を始め、来年4月には工場建屋を完工する予定。その後、レベラーなど設備の新設・移設を進めながら、来年度上期中の操業開始を目指す。

 現在、松原および本社工場にはそれぞれレベラーが2ラインあり、同社は計4つのレベラーを保有している。松原工場閉鎖に伴い同工場の2ラインはすべて撤去する。新工場には本社工場から1ラインを改造し、移管するとともに、新たにレベラー(平安製作所製)を設置する。足元の年産量は約3万トン。レベラーは1ライン減の3ラインとなるが、生産効率向上などで年産3万6千トンを目指していく。

 現本社工場にはレベラーのほか、塗装設備があり、コイルから塗装までを一貫生産できるのは同社の強みの一つとなっている。ただ、現本社工場は手狭で、レベラー移設で作業スペースを広げることに加え、在庫置き場も拡大し、安全性の向上を図る。

 また近年は缶業界全般において、異物混入対策などの品質要求水準が高まっており、メーカー・流通などでクリーンルームを採用するケースが増えている。同社もこうしたニーズに対応できるよう作業工程をクリーンルーム化する。また同社ではこれまでに導入していなかった表裏面検査装置を2ラインに設置し、品質およびその管理水準を引き上げ、ブリキCCとしての競争力を強化していく。

 同社は15年10月にJFE商事大阪ブリキセンターと新キヨイ鋼業を統合し、発足した。清末社長は「今回の移転を契機にさらに社内融和が図れる。また、これまで生産・加工に関する両工場の連携は距離的な問題から不十分だったが、今回の投資で両工場の連携を強化できる」と話す。

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