連覇に向けて早くも正念場? 波乗れぬ王者ホークスの苦しいチーム事情

ソフトバンク・工藤監督【写真:藤浦一都】

20日のロッテ戦に敗れ4連敗、40試合消化時点で貯金2は工藤体制最少

 王者が正念場に立たされている。20日、敵地ZOZOマリンスタジアムでのロッテ戦に4-8で敗れたソフトバンク。これで今季初の4連敗となり、このカードが始まる前までは全勝していたロッテにカード3連敗。ここ数年、得意としていたロッテ戦だったが、5年ぶりに3タテを食わされた。

 波に乗れない。これで首位西武との差は4.5ゲームとなった。40試合を終えて貯金は2、順位は3位だ。昨季もこの時期は2位だったとはいえ、貯金は10前後あった。ここまでの戦いぶりを見ると、昨季までの圧倒的な強さ、そして安定した戦いぶりは、今季のソフトバンクにはない。

 その原因はいくつか考えられる。まずは、故障者の多さだ。五十嵐亮太が椎間板ヘルニアでキャンプに参加できず、キャンプ中には左肩の違和感で和田毅投手が出遅れ、現在、復帰に向けて段階を進めている。高谷裕亮、栗原陵矢と捕手陣にも怪我人が続出した。シーズンに入って岩嵜翔が右肘の手術を受け、絶対的守護神のデニス・サファテは股関節の手術を受けた。

 そして、通算2000安打を達成たしたばかりの内川聖一が、左足に自打球を受けて17日に出場選手登録を抹消。その際には自打球による左脛骨内果打撲だけでなく、右膝痛を抱えたままプレーを続けていたことが明らかとなり、その治療を優先させることになった。

 さらにショッキングだったのが、先発ローテの大黒柱である千賀滉大投手が今季2度目の登録抹消だ。15日の楽天戦で7回1失点と好投して3勝目を挙げたが、その後、右肘周辺の張りが引かずに、4日経った19日に登録を抹消された。

 4月7日にも同じように右肘周辺の張りを訴えて登録を抹消され、5月1日に復帰したばかりの千賀。工藤公康監督は最短10日間での復帰メドを語ったとのことだが、2度目の故障で慎重にならざるを得ないところ。前回も軽症を見込んでいながら、結果的に復帰まで3週間を要したことを考えれば、今回も1か月前後の離脱となってもおかしくはない。何より、千賀の選手生活を考えれば、慎重に慎重を期してもらいたいところだ。

中軸打者が喘ぐ不振…松田、デスパイネ、内川、今宮が成績低下

 この故障者続出がチームを苦しめているのは確かだが、一方で主力の多くが成績を落としていることも苦戦の要因だ。野手でいえば、柳田悠岐外野手は打率.385、中村晃外野手が打率.302と高打率を残し、上林誠知外野手、甲斐拓也捕手も昨年より数字は上昇しているものの、肝心要の中軸が打線のブレーキになっている。

 先に挙げた4選手を除くレギュラー選手の今季と昨季の成績を見てみよう。

松田宣浩
○2018
40試合143打数32安打9本塁打26打点
打率.224 出塁率.302 得点圏.289
○2017
143試合531打数140安打24本塁打71打点
打率.264 出塁率.319 得点圏.280

デスパイネ
○2018
40試合140打数29安打9本塁打26打点
打率.207 出塁率.339 得点圏.226
○2017
136試合478打数125安打35本塁打103打点
打率.262 出塁率.347 得点圏.326

内川聖一
○2018
35試合137打数31安打3本塁打13打点
打率.226 出塁率.265 得点圏.135
○2017
73試合266打数79安打12本塁打50打点
打率.297 出塁率.370 得点圏.289

今宮健太
○2018
40試合148打数31安打1本塁打6打点
打率.209 出塁率.269 得点圏.125
○2017
141試合536打数139安打14本塁打64打点
打率.264 出塁率.317 得点圏.293

千賀が離脱の先発ローテ、バンデンハークは成績不振

 千賀を欠くことになった投手陣も苦しいと言わざるを得ない。チームの柱となるべき東浜巨、バンデンハークが本来の姿にない。石川柊太、2試合連続完封を見せた武田翔太が踏ん張っているものの、先発陣の復調なくして浮上はない。岩嵜、サファテと救援の柱2人を欠く状況では、なお一層、先発陣の奮起が求められる。

東浜巨
○2018
7試合1勝4敗0S0H 48.2回44安打10本塁打44三振18四球
防御率4.25 被打率.233
○2017
24試合16勝5敗0S0H 160回135安打17本塁打139三振44四球
防御率4.25 被打率.237

バンデンハーク
○2018
7試合3勝4敗0S0H 40.1回38安打7本塁打36三振18四球
防御率6.25 被打率.241
○2017
25試合13勝7敗0S0H 153回127安打18本塁打162三振47四球
防御率3.24 被打率.229

 これだけのネガティブな要素があるにも関わらず、貯金2で3位につけているのだから、ソフトバンクが強いのは間違いない。だが、ここまでを見る限り、明らかに昨季までの手がつけられないような強さはない。怪我人が続出した昨季も、分厚い選手層でこれを補って優勝したが、果たして今季は……。40試合消化時点で貯金2は工藤公康監督が就任して4年目最少。西武の勢いが一服している今、得意としている交流戦までが最初の踏ん張りどころとなりそうだ。

(Full-Count編集部)

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