三浦に往時の活気を 写真家や市民がトークイベント

 三浦市の往時のにぎわいを振り返り、活気を取り戻すための手だてを考えるトークイベントが20日、市内で開かれた。三浦半島の最南端に暮らす人々を撮り続け、写真集「南端」を出版した写真家の有高唯之さん(47)や被写体になった市民らが参加。観光客を呼び込み、長く滞在させるためのアイデアを出し合った。

 写真集を発行した市内唯一の出版社「アタシ社」が記念の写真展を20日まで、同市三崎の空きスペース「旧みうら映画舎」で開催。その集大成として、最終日にトークイベントも企画した。パネリストを、有高さんのほか、三崎港近くでスナックを営む辻あゆみさん(52)、農家の高梨雅人さん(56)、「オズマガジン」編集部の統括編集長・古川誠さん(43)が務め、「アタシ社」代表のミネシンゴさん(34)が進行役を務めた。

 人口減にあえぐ地域を元気にさせる秘策は何か。地元で暮らす辻さんと高梨さんが着目したのは名産品だ。

 半世紀ほど前は年間100隻以上のマグロ漁船が入港していたといわれる三崎港。辻さんは「三崎はマグロで沸いた町。その歴史を伝える施設があれば、親近感から『また来よう』と思ってもらえるはず」と指摘。一方、高梨さんは国内有数の避暑地・軽井沢(長野県)では、資料館の一角でキャベツの歴史を取り上げていることを紹介し、「(ダイコンなど)三浦の特産品をもっと発信する場があればいい」と話した。

 有高さんと古川さんがともに挙げたキーワードは「文化」だ。

 全国を飛び回る古川さんは魅力ある町の共通点として「伝統的な要素と新しい要素が融合した文化がある点」とし、「地域の魅力を掘り起こすコアとなる人材がいる町も面白い」と説明した。金沢市出身の有高さんはふるさとに多くある美術館を例に、「飲食店の多い三崎に、文化的要素を加えれば、観光客の滞在時間が延びるのでは」と提案した。

三浦市のかつてのにぎわいや目指すべき将来像をテーマに据えたトークイベント=三浦市三崎

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