新耐火仕様の「合成スラブ」、JFE建材が共同開発 大スパン、高荷重に対応

 JFE建材(社長・久保亮二氏)は22日、大成建設と共同で新耐火仕様の「QLデッキ合成スラブ」(QL75―12000)を共同開発したと発表した。大スパン・高荷重に対応可能な製品で合成スラブの適用範囲を拡大できるため、建築計画の自由度と建設時の施工性が向上し、従来比10%程度のコスト削減を実現できる。今後、事務所ビルや商業施設のほか、図書館などの公共施設に対して本製品を積極的に適用していく方針。

 合成スラブは、合成スラブ用デッキプレートとその上に打設された構造用コンクリートとが構造的に一体となって挙動する床スラブで、ひび割れ拡大防止筋を配して構成される。本製品は、積載荷重の上限を1万2千N/平方メートルと約2割増強。これまで適用できなかった最長3・6メートルの大スパンの高荷重エリアでも合成スラブを使用することができる。許容積載荷重は最大で現行の2・2倍となり、大スパンほど高い効果を発揮する。

 また、建物全体に本製品を適用することで、大型書架のような重量物を自由に設置可能となり、建築計画の自由度が増すほか、適用可能なスパンが長くなるため、合成スラブを支持する小梁数を削減できる。さらに従来の鉄筋コンクリート造スラブに比べて配筋作業の省力化と鉄筋量低減が可能となるほか、施工時に構造が異なるスラブ同士の煩雑な接続が不要となり、デッキプレートの敷き込みを含めた施工性が向上するため、コストを低減できる。

 鉄骨造の事務所ビルなどでは、施工性がよくコストメリットがある合成スラブが多く使用されている。しかし、現行の耐火認定済み合成スラブでは支持スパンに応じて積載荷重に上限があり、大型書架のような重量物を設置する高荷重エリアには適用できなかった。そのため、同一階の高荷重エリアとそれ以外のエリアで床型枠用鋼製フラットデッキを用いた鉄筋コンクリートスラブと合成スラブが混在し、施工性の低下による工期やコスト拡大につながっていた。本製品はこれを解決したもので、合成スラブ内に設置する補強筋を増量するなどの改良を加えた。

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