YKKAP、「窓学展、窓から見える世界」全国5カ所を巡回中 建築、文化、サブカルなど幅広く楽しめる

 YKKAP窓研究所(所長・山本絹子YKKAP専門役員)は、窓学10周年を記念したエキシビション「窓学展、窓から見える世界」の巡回展を5月12日から6月10日まで大阪市立大学(大阪府大阪市)で開催中。

 YKKAPは「窓は文明であり、文化である」という思想の下、2007年から窓を学問として多角的に研究する活動「窓学」を研究者・建築家とともに実施。建築、文化、アートなどさまざまな切り口で窓についてアプローチしてきた。

 現在まで建築家の原広司氏など述べ55人以上の専門家と共に50以上のテーマで研究が行なわれた。それら10年の成果に焦点を当てた「窓学展、窓から見える世界」を全国で展開中。約1万5千人が来場した東京開催(17年9月28日~10月9日)を皮切りに、全国5カ所の大学ギャラリー(金沢工業大学、東北大学、名古屋工業大学、大阪市立大学、九州大学)で巡回中。

 開幕日の5月12日は、メディアツアーと窓学トークイベントが開催された。メディアツアーで山本絹子所長は、「『窓学』という言葉は、吉田忠裕YKKAP代表取締役会長CEOの発案。窓は生活に多大な影響を与えるファクター。良い窓は生活が豊かになる。窓を大事にしてほしい」と話した。

 窓学トークイベントで山本所長は窓学の概要とこれまでの取り組みについて説明。その後、建築批評家としても著名で窓学総合監修を務める五十嵐太郎東北大学教授、アーティストの山本麻紀子氏、大阪市立大学教授で建築家の宮本佳明氏が、「窓」の魅力の奥深さについて約60人の聴講者に伝えた。

 五十嵐教授は窓の歴史を軸に17世紀オランダの絵画や漫画、映画など表象の世界に描かれた窓について紹介。山本氏は窓に関する作品を創作、窓に表れる生活感やコミュニティの魅力について話した。

 歴史家や文化人類学者、建築家など多角的な視点で、「窓」を見つめ直した本展。伝統産業において窓の果たす役割を解明した「窓の仕事学」、日本の建築の間戸(マド)に着目して美しい短編映画としてまとめた「窓の記録学」など、建築のみならず、産業・文化・サブカルチャーまで、幅広い年代、分野の方に楽しんでもらえる内容。

 七つの「窓学」の研究成果は次の通り。(敬称略)

 ▽「窓の漫画学」五十嵐太郎(東北大学)

 ▽「窓の環境制御学」小玉祐一郎(神戸芸術工科大学・エステック計画研究所)

 ▽「窓の民族学」佐藤浩司(国立民族学博物館)

 ▽「窓の仕事学」塚本由晴(東京工業大学)

 ▽「窓の記録学」中谷礼仁(早稲田大学)

 ▽「窓のものがたり学」原広司(原広司+アトリエ・ファイ建築研究所)

 ▽「窓の進化系統学」村松伸+六角美瑠(東京大学)。

 巡回展の会場は大阪市立大学杉本キャンパス田中記念館ホワイエ。入場無料で予約不要。一般入場可。

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