横須賀の市民合唱団と共演 加藤登紀子さん来月コンサート 名曲「百万本のバラ」披露 声に宿る「魂」感じて

 市民と、名曲を歌い継ぐ-。シンガー・ソングライターの加藤登紀子さん(74)が6月、「よこすか芸術劇場」(神奈川県横須賀市本町)で開かれるコンサートで、地元の市民合唱団5団体と共演する。披露するのは「百万本のバラ」。「一人一人の声に宿る『魂』の力を感じ取ってほしい」。歌手生活53年の大ベテランと市民約80人が心を一つに、歌声を響かせる。

 ♪百万本のバラの花を あなたに あなたに あなたに あげる-

 11日夕。本番を前にしたリハーサルで、出演者とともに、低く味のある声で熱唱する加藤さんの姿があった。

 「体を使って、精いっぱい歌って」「出だしはちゃんと声を出して」。憧れの“お登紀さん”からのアドバイスを一言も聞き漏らすまいと、参加者の表情も真剣だ。練習は2時間続いた。加藤さんと同世代で、長年のファンという女性(71)は「一緒に名曲を歌えて夢のよう」と感激していた。

 今回の共演は、「音楽を通じて地元の市民と交流を深めたい」という加藤さんの希望で実現した。「百万本のバラ」は、旧ソ連の国民的歌手アラ・プガチョワさんの代表曲。ジョージア(グルジア)の貧しい画家が、思いを寄せる女優にバラの花を贈るという内容で、加藤さんが「長く歌い継ぎ、次の世代にも残したい」と願う名曲だ。

 「私自身も出演者からパワーをもらっている」とほほ笑む加藤さん。「(観客には)自分の体に風が吹き過ぎるような、歌っていなくてもコーラスの中にいるような、そんな感覚を味わってほしい」と多くの来場を呼び掛けている。

 「TOKIKO’S HISTORY 花はどこへ行った」と題したコンサートは、6月16日午後4時半開演。コンサートの最後を、市民合唱団との共演で飾る。チケットは全席指定で5500円。問い合わせは、予約センター電話046(823)9999。

約80人の出演者とともに「百万本のバラ」を練習する加藤さん =11日、横須賀市本町

© 株式会社神奈川新聞社