秦野市、小中学生の訪韓再開へ 朝鮮半島情勢緊張緩和受け

 朝鮮半島情勢の緊張緩和を受け、秦野市は、韓国の友好都市・坡州(パジュ)市に小中学生を派遣する事業を再開する。昨年は北朝鮮の核実験やミサイル発射、金正男(キムジョンナム)氏暗殺などで情勢が悪化したため、初めて派遣を中止していた。

 2005年に友好都市となった坡州市は、北朝鮮との最前線の軍事境界線に面したソウル北方のベッドタウン。市内では、北朝鮮が韓国侵略のために秘密裏に建設した南侵トンネルが見つかるなど、有事の際は戦場となる可能性が指摘されている。

 平昌冬季五輪・パラリンピックや南北首脳会談などで緊張が緩和したため、市などは坡州市とも協議し、「より安全になっている」と派遣再開を決めた。

 秦野市の派遣事業では、公募の中学生20人が7月29日から8月4日まで、坡州市内の英語学習施設「英語村」に宿泊しながら地元の中学生と交流を深める。南侵トンネルの見学なども予定している。今月11日から31日まで募集し、23日現在で7人の応募があった。小学生は8月、少年サッカーチームの24人を派遣する。

 ただ、「北朝鮮の脅威は払拭(ふっしょく)されておらず、米朝会談が決裂する可能性もある。派遣実施は早すぎる」(市議)と慎重な対応を求める声も上がっている。市は「情勢次第では中止もあり得る」としている。

坡州(パジュ)市

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