ランドセル、トンガの子らへ 海老名市が呼び掛け

 海老名市は、昨年度の市立小学校の卒業生などから集めたランドセルを南太平洋の島国「トンガ」に寄贈する。同国では2月に直撃したサイクロン「ジータ」で大きな被害が出ており、救援物資として現地の子どもたちに活用してもらう初の試み。ランドセルは横浜港から船で海を渡り、新たな持ち主の元に届けられる。

 トンガはラグビーが盛んで、同国との交流を続ける県ラグビーフットボール協会が近年、「県ミニラグビーファイナルカップ」を市内で開催している。今年3月に同国の駐日大使が同市役所を訪問した際、市側がランドセルを提供することが正式に決まった。

 市教育委員会が卒業式を終えた後の6年生の家庭にランドセル提供を呼び掛ける手紙を出したところ、目標数を100個以上上回る269個が集まった。

 赤や黒、水色、茶色など色とりどりで「多くが状態も美品だった」(市教委)。家庭で眠っていた兄や姉のランドセルも一緒に寄せた家庭もあった。

 市教委の担当者らが18日、ランドセルの入った100以上の段ボールを横浜市中区の山下ふ頭に運び込んだ。トラックの荷台から段ボールを1個ずつ、輸送用のパレットに丁寧に積み下ろしていき、約40分で作業を終えた。

 担当者は「『誰かにまた使ってもらえる』という思いから海老名の子どもたちがランドセルを寄せてくれた。現地に無事に届き、大事に使ってもらえればいい」と話した。

 海老名市の内野優市長は4月の定例会見で、2019年にラグビーワールドカップが国内で開催されることにちなみ「トンガとのさらなる友好関係を持ちたい」と述べた。

 ランドセルは、輸送船で横浜港からトンガまで届けられる。同じ船には、県ラグビーフットボール協会から同国に寄贈するラグビーボールなども積まれており、輸送船の出航は6月中旬の見通しという。

トンガに送るランドセルが入った段ボール箱をトラックから積み下ろす海老名市教育委員会の担当者ら=横浜市中区の山下ふ頭

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