BTCC第3戦:マット・ニール、新型FK8シビック・タイプRでの初優勝をマーク

 BTCCイギリス・ツーリングカー選手権の第3戦が5月19~20日にスラクストンで開催され、そのオープニングとなるレース1でチーム・ダイナミクスのマット・ニールがFK8型のホンダ・シビック・タイプRでポール・トゥ・ウインを達成。今季デビューのNGTC仕様ニューモデルのBTCC初優勝を記録した。

 今季もハルフォズ・ユアサ・レーシングとしてホンダのワークス待遇トップチームとなり、先陣を切ってFK8型NGTC仕様のシビック・タイプRを投入したチーム・ダイナミクスは、このハンプシャー州に位置するシリーズ随一の高速サーキットで予選から躍動。ニールがフロントロウ2番手に並んだウエスト・サリー・レーシング(WSR)のコリン・ターキントン(BMW 125i Mスポーツ)をコンマ2秒抑え、ラップレコードを樹立してのポールポジションを獲得した。

 迎えたオープニングラウンドのレース1は、FRマシンのトラクション性能を活かしてターキントンのBMWがポールシッターを仕留められるかに注目が集まったが「そこが最大の焦点だと理解して」シグナルが消える瞬間を待ったニールは、1コーナーへの進入でインサイドラインを維持し、見事にホールショット。そのまま先頭のポジションをキープしてオープニングラップのコントロールラインへと戻って来た。

 レース前の想定どおり、その後2番手を走るターキントンはFK8シビックの背後には付けるものの、真の意味でプレッシャーを掛けるまでには至らず。ニールは16ラップ、約20分の決勝レースを完璧にマネジメント。そのまま0秒860のマージンでトップチェッカーをくぐり、チャンピオン経験者が自身の今季初勝利をマークするとともに、デビューイヤーのニューマシンに勝利をプレゼントした。

「この勝利が得られたことは格別な思いだ。今日はライトが消える瞬間に全身全霊で集中し、熱が出るくらいだったよ」と喜びを語ったニール。

「それでも僕らはコリンに先行されるだろうと予想していたが、FK8のトラクションとポジショニングが上手くいき、トップを維持することができた。その後はタイヤを最大限にケアして、なるべく縁石を使わないように心掛けた。高速コーナーでは明らかに僕らのマシンにアドバンテージがあったね」

「スラクストンでのレースはいつだって最高だ。挑戦的でスリルがあり、最近の”健康”や”安全”の思想に毒されていない、オールドスクールな最後のスタイルを持つ特別なサーキットだ。こんな威圧的なトラックで新型(シビック)タイプRの初勝利を収め、ユアサの創立100周年の週末を祝えたのは最高の気分だね」

 以降、2位には地元のトラックで最後までシビックに喰い下がったターキントンが続き、3位表彰台にはニールのチームメイトで、今季からチーム・ダイナミクスに加入したルーキーのダン・カミッシュが入り、FK8ホンダ・シビック・タイプRの初勝利にワン・スリー・フィニッシュで華を添えた。

 16周の決勝で一人旅となったカミッシュの後方4番手には、長らくWSRのもう一台、アンドリュー・ジョーダンのBMWが続いていたが、終盤にモーターベース・パフォーマンスのフォード・フォーカスRS艦隊、サム・トルドフとトム・チルトンに相次いでかわされ6位でレースを終えている。

 続く日曜のレース2は、パワー・マックス・レーシングのジョシュ・クック(ボクスホール・アストラBTCC)が快走。9番グリッドからのスタートながら、オープニングラップで6番手にまで浮上すると、ターキントン、ニールを従えトップラン。見事にキャリア初優勝の第2戦に続き、今季2勝目を飾った。

 そして週末のファイナルラウンドとなるレース3は、リバースグリッドから出たシシリー・モータースポーツのアダム・モーガン(メルセデス・ベンツAクラス)が、こちらも第2戦の再現を思わせる完璧なライト・トゥ・フラッグのレースでトップチェッカー。クックを追うように今季2勝目をマークしている。

 BTCCダンロップMSAブリティッシュ・ツーリングカー・チャンピオンシップの第4戦は、6月9~10日の週末にオールトンパークで開催される。

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