「クロップが今季解決した!リヴァプールを長年悩ませた5つの“難題”」

UEFAチャンピオンズリーグ決勝に進出したリヴァプール。

ここでは、『sportskeeda』による「クロップ監督が今季解決した、リヴァプールが長年抱えていた5つの問題」を見てみよう。

海外の日本代表最新情報、Jリーグ超ゴールはこちら

守備におけるリーダー

かつてのリヴァプールの最大の強さのひとつは、ジェイミー・キャラガーとサミ・ヒューピアとの強固なパートナーシップだった。

このデュオは強靭な守備を形成した、特にラファ・ベニテスのもとで。だが、フィンランド人DFがクラブを去った2009年以降、守備面での苦境が始まった。

ダニエル・アッガーはモダンなCBが必要とする全ての資質を備えていたが、怪我によってキャリアを阻害されてしまった。そして、マルティン・シュクルテルは本当に支配的な存在になれず。

その後、キャラガー引退で守備陣のリーダーがいなくなってしまった。デヤン・ロヴレン、ママドゥ・サコ、ジョエル・マティプらも挑戦したが、一貫性のあるトップディフェンダーにはなれずじまい。

そんななか、クロップが守備におけるNo.1ターゲットにしていたフィルヒル・ファン・ダイクが加入。長引いた移籍騒動の後、彼は7500万ポンド(111.8億円)というDF史上最高額でやってきた。

だが、加入から5か月が経った今、その金額についてはもはや話題にはなっていない。それは彼がもたらしたインパクトを物語っている。

このオランダ人DFは強さ、高さ、スピード、テクニックを併せ持っている。だが、際立っているのは、周りの選手たちに与える安心感・落ち着き。

彼は雄弁なリーダーであり、後半戦に見せたように冷静な守備は一級品だ。そのクオリティとリーダーシップを証明したファン・ダイク。彼の加入以降、リヴァプールの失点数は減った。

リヴァプールはついに最終ラインにおけるリーダーを手に入れたのだ。そして、彼を説き伏せたクロップのお手柄でもある。

左サイドバック問題

リヴァプールファンたちは今世紀におけるお気に入りの左サイドバックを尋ねられる度、都合よくここ10年間のことはすっ飛ばし、かつて活躍したヨン・アーネ・リーセやファビオ・アウレリオらの名前を挙げてきた。

クラブは左SB問題を解決しようと、この10年で7人ほどの選手たちを獲得してきたが…。

昨夏、ハル・シティから800万ポンド(11.9億円)で加入したアンディ・ロバートソンにも懐疑的な目が向けられていた。アルベルト・モレノがようやく一貫性を見出していたこともあり、当初彼のプレーチャンスはあまり無かったのだ。だが、モレノの怪我で事態は変わった。

トップチームに組み込まれたロバートソンは、左SB問題が近い将来に解決されるだろうことを見せつけ始めた。リヴァプールのCL躍進において、ソリッドさと鋭いクロスを併せ持つ彼はパーフェクトパッケージとなった。

事実、ロバートソンは243分ごとに1度のチャンスを作り出しており、これはカイル・ウォーカーやエクトル・ベジェリン、キーラン・トリッピアーらを上回る数値だ。

クロップが強調したように、彼は最初の数か月においてプレースタイルをスピードアップさせる必要があった。その後のパフォーマンスが示しているように、指揮官の指示に応えてみせたように見える。

クロップはもうひとつの大きな問題だった左サイドバックの穴を埋めたのだ。

GKレイナの後継者

リヴァプールで最後にトップGKだったのはペペ・レイナだ。彼以降、ドニ、ブラッド・ジョーンズ、ペーテル・グラーチ、ダニー・ウォード、アーダーム・ボグダーンらが獲得されてきたが、この10年ほど成功者はいなかった。

レイナ退団後、最も長くNo.1の座にいたのはシモン・ミニョレ。昨季そのパフォーマンスは改善されたが、彼にはこのポジションに必要とされる一貫性とリーダーシップがない。

てんてこまいなミニョレとクロップが連れて来たロリス・カリウス、指揮官は最終的に守護神の座を後者に授けた。カリウスは自信を得るようになり、この決断は正しいものに。

2016年のブンデスリーガではマヌエル・ノイアーに次ぐ存在と評価された彼が、確かなパフォーマンスを見せ始めたのだ。

1月のスウォンジー戦以降、被シュート58本中42本をセーブし、72.4%という驚異的なセーブ率を記録。より注目すべきなのは、そのうちの36セーブが試合がタイスコアの際に生まれたものだということ。

ボール扱いも巧みで、ディストリビューションにおいてもレイナの後継者といえる。彼は今後も守護神に君臨することが期待され、クロップはGK問題も解決したように見える。

守備の崩壊

個人の守備について語っていると、リヴァプールの守備の苦境が根深いことを簡単に忘れてしまう。

問題の根絶において、鍵となるのは正しい選手を獲得することだ。だが、アタッキングマインドを持つリヴァプールにとっては、この問題を解決するためにチームとして守ることが重要になる。

昨年10月にトッテナムに1-4で惨敗した後、クロップが守備においてもいい監督なのかということの真価が試された。だが、その後パフォーマンスを改善し、指揮官はその評価を取り戻してみせた。

『Monday Night Football』でジェイミー・キャラガーが指摘したように、スパーズ戦後に行われたハダーズフィールドとの一戦では、左SBアルベルト・モレノの定位置が驚くほど深かった。彼がウィンガーのように振る舞うことはもはやなくなり、前方に飛び出すのも機を見るようになった。

この変更によって守備陣は間違いなくよくなった、得点力について影響を与えることもなく。シーズンが進むにつれて、チームの守備は機能するようになった。

そして、1月のファン・ダイク加入によって、守備陣にはリーダーができた。このオランダ人DFのクオリティはチームメイトたちに影響を与えた、特にロヴレンに。

カリウスは調子を上げ、中盤は守備がより固くなり、チームの守備はより強固になったのだ。マンチェスター・シティとのCL準々決勝1stレグで相手をシャットアウトした際にそれを見せつけた。

事実、10月のスパーズ戦以降においてリヴァプールはリーグ最高の守備を記録している。29試合で22試合しかしなかったのだ、ファン・ダイクがいたのは15試合だったにもかかわらずだ。

これはクロップが守備においてもいい監督であることの証明であり、この進歩は個人に依存していないのでチームに定着している。

リヴァプールが今季英92チームで唯一となるホーム戦無敗だったことは不思議ではない。これもまた進歩のひとつの兆候だ。

下位相手の苦戦

リヴァプールが下位相手に苦戦することは良く知られている。深く引き籠った相手には普段のように裏を突くことができないために問題の一端となっている。

多くの場合、リヴァプールは下位チームに打ち負かされてきた。選手たちがトップクラブ相手にプレーするようなハングリーさを持っていないからだ。

優勝チームはそういった相手に楽勝するはずであり、この問題はリヴァプールのタイトル争いにおいて大きな障壁となっていた。だが、クロップはついにこの問題を解決したように見える。

実際、今季のリヴァプールはボトムハーフ相手にプレミアリーグ発足以降でチームベストの戦績を残した(08-09、13-14シーズン同様に平均勝点2.45ポイントを獲得)。

クロップが数年前から口酸っぱく言ってきた「先制点を奪うまでは耐えろ」というメッセージがついに選手に浸透したのだ。

タイトルを手にする最後の一手として、引き分けの数を減らさなければいけない。とはいえ、この変化が示しているのは、チームには持続力があり、今夏の補強によってより強くなるのは間違いないということだ。

クロップは今季大きな問題のほとんどを消し去っており、これは将来に向けてもいい兆候と言える。

上記5つの問題は、リヴァプールが一貫性のあるチームになり、国内と欧州で支配的な存在になることを妨げる主要な要因になっていた。そういった問題をひとつひとつ解決して、タイトルチャレンジを可能としたクロップには大きな賞賛が与えられるべきだ。

© 株式会社ファッションニュース通信社