致死量2600万人分の麻薬性鎮痛剤押収 プリンスさんも死亡、深刻な問題

By 太田清

押収されたフェンタニル。ネブラスカ州警察のツイッターから

 米中西部ネブラスカ州警察は27日までに、同州で麻薬性鎮痛剤フェンタニル約53キロを押収したと発表した。米主要メディアが伝えた。米国では史上最大規模の押収量に当たり、米麻薬取締局によると2600万人分以上の致死量に当たるという。 

 フェンタニルはオピオイドの一種で本来、モルヒネの50~100倍の効果を持つ強力な医療用鎮痛剤として使われるが、服用すると陶酔感を得られることから米国では麻薬として使用する例が後を絶たず、深刻な問題となっている。

 麻薬としてはヘロインの30~50倍の効果があるとされる一方、過剰に摂取すれば呼吸困難などで死亡する。2016年に死亡した人気歌手プリンスさんの死因がフェンタニルの過剰投与による中毒死であることも判明した。 

 同州のカーニー付近の幹線道路で4月26日、警察が大型トラックを止め、積み荷を調べたところ、42個の包みに分けられたフェンタニルを発見、運転手(46)と同乗者(52)=ともに東部ニュージャージー州在住=を販売目的の麻薬所持容疑で逮捕した。押収されたフェンタニルの末端価格は2000万ドル(約22億円)以上という。 

 フェンタニルを入手するには医師の処方箋が必要であることから、違法な製造や販売が盛んに行われている。ワシントン・ポスト紙(電子版)などによると、フェンタニルを含むオピオイドによる全米の死者は2016年に42000人以上に達した。特にフェンタニルの過剰投与に関係する死者は急増しており、10~16年の間に3倍になっている。 (共同通信=太田清)

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