メクル第278号 「こども観光ガイド」挑戦 雲仙市立雲仙小

 島原半島の中央にそびえる雲仙(うんぜん)・普賢岳(ふげんだけ)(1359メートル)。もともと県内最高峰(さいこうほう)でしたが、今、長崎県で一番高い山は、すぐ横にある平成新山(へいせいしんざん)(1483メートル)です。1990年からの普賢岳の噴火(ふんか)活動によってできた日本で一番新しい山なのです。これらを含(ふく)む雲仙は1934年、日本で最初の国立公園に指定されました。
 公園内にある雲仙市立雲仙小(本村日登生(もとむらひとお)校長、20人)では、総合(そうごう)的な学習の一環(いっかん)で、雲仙の自然のすばらしさなど古里の魅力(みりょく)について観光客に紹介(しょうかい)する「雲仙こども観光ガイド」に取り組んでいます。5月15、16日、時間をかけて準備(じゅんび)してきた5、6年生12人が、同市小浜(おばま)町の雲仙地獄(じごく)でチャレンジしました!

◎2班(はん)に分かれ準備(じゅんび)

 雲仙こども観光ガイドは1998年に始まりました。約20年間続く伝統(でんとう)的な学習です。毎年5、6年生が、ミヤマキリシマが咲(さ)き誇(ほこ)る春と紅葉(こうよう)が美しい秋の年2回行っています。
 12人は、雲仙地獄や温泉担当(おんせんたんとう)の「マグマレッド」、自然や植物、歴史などを担当する「雲仙イエロー」の2班(はん)に分かれて準備。パンフレットなどを使って調べたり、地元の満明寺(まんみょうじ)や土産品店を取材したり。昨年秋に開いたガイドの改善点(かいぜんてん)を踏(ふ)まえて内容(ないよう)も変更(へんこう)し、発表の練習を重ねてきました。

◎お土産ベスト3も

 さて、本番当日。「緊張(きんちょう)する~」。ガイド初挑戦(はつちょうせん)の5年生はドキドキが止まりません。「がんばろうね」と言い合って二手に分かれ、観光客を呼(よ)びこみました。
 ♪ウェルカム トゥ うんぜ~ん♪
 ポーズ付きのあいさつで、ガイドスタートです。
 マグマレッドは雲仙地獄のほか、平成新山ができた経緯(けいい)、島原半島にある三つの温泉についてパネルで説明しました。橘湾(たちばなわん)の下にはマグマだまりがあり、そこから一番近い小浜は温泉の温度が105度で日本一高く、続いて硫黄分(いおうぶん)が溶(と)け出す雲仙は70~90度、一番遠い島原は30~40度と、温度が距離(きょり)などによって変わっていく国内でもめずらしい場所だと紹介。観光客からは「へぇ~、すごい!」と、おどろきの声が上がりました。
 歴史や四季のうつり変わりなどを伝えたのは、雲仙イエロー。温泉は1300年以上の歴史があり、昔は「温泉」と書いて「うんぜん」と呼ばれていたそうです。自分たちで考えたおすすめのお土産ベスト3も披露(ひろう)。イチオシの「湯せんぺい」を使ったスイーツもみんなに食べてもらいたいと、お店を調べて新たにパネルを作りました。

◎クイズでおさらい

 最後は、クイズでポイントのおさらい。子どもたちは聞いてくれたお礼に、観光客へ手作りのしおりをプレゼントしました。
 ガイドの話を聞いた熊本(くまもと)市の西春美(にしはるみ)さんは「同じだと思っていた温泉のちがいが分かり、勉強になった。家から普賢岳が見えるので、これからはガイドを思い出してながめたい」とにっこり。
 大役を終えた子どもたちはほっとした表情(ひょうじょう)。6年の石田真麻(いしだまお)さんは「原稿(げんこう)を考えたり、覚えたりするのに苦労した」、5年の内田楓(うちだかえで)君も「大きな声や笑顔で話すのが大変だった」と、ふり返りました。
 6年の馬塲心結(ばばみゆ)さんは今回のガイドを通じ、あらためて思いました。「いろいろ調べて、もっと雲仙が好きになった。これからも観光客に伝えていきたい」  (輔野沙織(すけのさおり))

※秋は11月1日に仁田峠(にたとうげ)、3日に雲仙地獄でガイドをする予定です。

「ウェルカム トゥ うんぜ~ん!」と恒例のポーズをとる雲仙小の5、6年生=雲仙地獄

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