山本尚貴「驚きとうれしさの両方。レースの奥深さを改めて感じた」/スーパーフォーミュラ第3戦SUGO 優勝会見

 5月27日にスポーツランドSUGOで決勝レースが行われた全日本スーパーフォーミュラ選手権第3戦。戦いを終えてトップチェッカーを受けた山本尚貴(TEAM MUGEN)、2位を獲得したニック・キャシディ(KONDO RACING)、3位を獲得した中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)が戦いをふり返った。

■山本尚貴(TEAM MUGEN)/決勝1位

「正直、ここに来られると思っていなかったので驚いてます。驚きとうれしさと両方ありますね」

「今日のレースは戦略の面で、チームがあそこで(ピットに)呼んでくれたことがすべてだと思いますし、その次に挙げるとすればリスタート後に前にいてミディアム(タイヤ)を履いている関口(雄飛)選手と伊沢(拓也)選手の2台を抜いて、(後方の)ニック(キャシディ)選手との間にその2台を入れられたことが大きい勝因だと思います」

「去年も一生懸命頑張ってましたし、今年も頑張ってるんですけど、去年は何をしてもうまくいかなくて。かたや(チームメイトだった)ピエール(ガスリー)が全部うまくいっていてフラストレーションが溜まりました」

鈴鹿以外のサーキットで初のスーパーフォーミュラ勝利を挙げた山本尚貴(TEAM MUGEN)

「苦しい時期があったんですけど、今日みたいにうまくいっちゃうレースもあるんだなと思うと、レースの奥深さを改めて感じました」

「(小林可夢偉選手との攻防について)細かくは言われていませんでしたけど、SUGOはトップ6のラップタイムが(タワーに)出るので可夢偉選手が僕よりコンマ5~1秒くらい速いのは知っていました」

「それに一昨年の関口(雄飛)選手のように30~35秒以上のギャップをキープできれば(ピットを終えても)トップに戻れることも頭に入っていたので、可夢偉選手に離されないようにしないとなと思ってました」

「そうは言いつつも、燃料を積んで重い状態で走らなくてはならず、なかなかペースが上がらなかったのと、可夢偉選手はオートポリスからソフトタイヤを調子よく使えていたし燃料も減ってきて、僕のラップタイムが上がらない反面、可夢偉選手のペースが上がっていたので『ちょっと厳しいな』と思ってました」

「ピットに入ったと聞いて(メインストレートの)ビジョンで(可夢偉選手が)ピット作業しているのが見えたので、うまく前に出られたんだなと思って、そのあとは前だけ見て走ることに集中してました」

(これまで鈴鹿でしか勝てていませんでした)
「クルマ的にも鈴鹿があっていて、僕も鈴鹿が好きなんです。好きだから勝てるわけではないし、鈴鹿で勝つのも大変なんですけど、ほかのサーキットで勝てていないというのは事実ですし、それに対するプレッシャーもゼロではありませんでした」

「ひとつこうして、戦略やレース展開に恵まれたものの、(勝ちを)獲れるときに獲れたことで肩の荷が降りた部分はありますね」

■ニック・キャシディ(KONDO RACING)/決勝2位

「11番手スタートだったし、正直自分が期待していた以上の結果だ。金曜日の専有走行から調子が悪くて、土曜日もフィーリングが良くなかった」

「去年(ポールポジションを獲得した時)と同じセットアップを持ち込んできたんだけど、どの方向へ進めばいいか混乱してしまった。ただようやくウォームアップでヒントをみつけることができたんだ」

ニック・キャシディ(KONDO RACING)

「63周に渡ってソフトタイヤで走ることになったし、燃料もセーブしながら戦わないといけなかったけど安定して走ることができた」

「今日の戦略は僕が提案したものなんだ。チームからはクレイジーだって言われたけどね(笑)。ソフトタイヤがどれだけもつか分からなかったし、5周目に給油してガソリンが最後までもつかも分からなかった。だから燃費走行していたんだよ」

「セーフティカー導入は不利に働いたかもしれない。それまではクリーンなところで好ペースで走れていたのに、セーフティカーのタイミングでピットインしたドライバーが出てきたから。結果的には2位に入れたから良かったと思ってるけどね」

「セーフティカーのおかげで燃料をセーブできたけど、セーフティカー退出後の1~2周は内圧が上がらずに苦労する場面もあった」

「ただ、最後の5周はレースキャリアでもっともストレスフルな時間だったよ。ずっと『ニックさん、燃料の残りはどれくらい!?』って聞かれ続けたからね(笑)」

「今日は隣にいる山本選手を祝福したい。今シーズン、これまで素晴らしい戦いをしていると思う。彼とスーパーGTで戦わなくちゃいけないのは正直イヤなくらい。でも、そんな彼の横に座れていることを光栄に思うよ」

■中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)/決勝3位

「気持ち的には隣のふたりとおなじですが、展開的にツイていた部分もありましたけど、それもある程度、頭に入れながら戦略を組んでいた面もあるので、それがうまくはまってくれました。SUGOはツキがあるのかなと思います」

中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM'S)

「ここまで鈴鹿、オートポリスと苦しい戦いが続いて、予選Q3にこそ進めましたけど、今朝もけっして良い状態ではなく、気持ちよく走れる状況ではないなかで、なんとか表彰台に立つことができたのは重要だと思います。これからシーズンの流れを変えていきたいですね」

「先週のスーパーGT鈴鹿戦が近年まれに見るくらいフラストレーションが溜まるレースだったので、少し流れを変えられたのかなと思います。この流れで今後も頑張っていきたいです」

「自分のポジション的にチャンピオンシップを(見据えて)どうこう言える感じではないので、まずは自分の居場所を上げられるようにしないといけませんね。今のところ、Q3になんとか進んで、というレースばかり続いているので、もう少しレベルを上げていかないとですし、レースペースに関しても同じかなと思います」

優勝会見に登場した山本尚貴とニック・キャシディ、中嶋一貴、TEAM MUGENの手塚長孝監督

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