1930年に創設されて以降、88年もの歴史を持つワールドカップ。
これまでに行われた試合数は836にも及び、2379もの得点が生まれた。
そんななか、88年もの歴史で生まれた不思議な「ジンクス」もいくつか存在する。今回はそれらをご紹介しよう。
1. “外国人監督”は優勝できない
これまでに20回の大会が行われたワールドカップ。
88年の歴史で20の王者が生まれたわけだが、優勝チームを率いた指導者は全て自国出身の監督である。優勝チームから見た“外国籍監督”がトロフィーを掲げたケースは一度もないのだ。
今大会も優勝候補を見てみても、ブラジル代表(チッチ)、アルゼンチン代表(ホルヘ・サンパオリ)、ドイツ代表(ヨアヒム・レーフ)、スペイン代表(フレン・ロペテギ)、フランス代表(ディディエ・デシャン)など自国出身の監督は多い。
唯一の例外は、スペイン出身でベルギー代表を率いるロベルト・マルティネスだろうか。
2. 開催国、オープニングゲームは負けなし
どういうわけか、ワールドカップでは開催国が恵まれたグループに振り分けられがちだ。
今大会もロシアがサウジアラビア、エジプト、ウルグアイと比較的戦いやすい組に入っている。そうした事実があるなかで、開催国は初戦に強いというデータがある。
これまでの20大会におけるその成績は14勝6分で、開催国はオープニングマッチで非常に高い勝率を記録しているのだ。
なお、本大会でグループステージが採用になって以来、開催国が決勝トーナメントに進めなかったのは2010年大会の南アフリカのみ。
今大会、ロシアはオープニングマッチでサウジアラビアと対戦する。
3. バロンドールの呪い
サッカーファンの間で密かに噂される、バロンドールとワールドカップの不思議な関係。
前年のバロンドール受賞者は、翌年のワールドカップで優勝することができていないのだ。以下がその顔ぶれである。
1958年大会の優勝国:ブラジル
1957年のバロンドール受賞:アルフレッド・ディ・ステファノ(スペイン)
1962年大会の優勝国:ブラジル
1961年のバロンドール受賞:エンリケ・オマール・シヴォリ(イタリア)
1966年大会の優勝国:イングランド
1965年のバロンドール受賞:エウゼビオ(ポルトガル)
1970年大会の優勝国:ブラジル
1969年のバロンドール受賞:ジャンニ・リヴェーラ(イタリア)
1974年大会の優勝国:西ドイツ
1973年のバロンドール受賞:ヨハン・クライフ(オランダ)
1978年大会の優勝国:アルゼンチン
1977年のバロンドール受賞:アラン・シモンセン(デンマーク)
1982年大会の優勝国:イタリア
1981年のバロンドール受賞:カール=ハインツ・ルンメニゲ(西ドイツ)
1986年大会の優勝国:アルゼンチン
1985年のバロンドール受賞:ミシェル・プラティニ(フランス)
1990年大会の優勝国:西ドイツ
1989年のバロンドール受賞:マルコ・ファン・バステン(オランダ)
1994年大会の優勝国:ブラジル
1993年のバロンドール受賞:ロベルト・バッジョ(イタリア)
1998年大会の優勝国:フランス
1997年のバロンドール受賞:ロナウド(ブラジル)
2002年大会の優勝国:ブラジル
2001年のバロンドール受賞:マイケル・オーウェン(イングランド)
2006年大会の優勝国:イタリア
2005年のバロンドール受賞:ロナウジーニョ(ブラジル)
2010年大会の優勝国:スペイン
2009年のバロンドール受賞:リオネル・メッシ(アルゼンチン)
2014年大会の優勝国:ドイツ
2013年のバロンドール受賞:クリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル)
バロンドールは世界最高の選手に送られる個人アウォードだ。そのため一人くらいワールドカップ王者が生まれていてもおかしくはないのだが…。
ちなみに、昨年度のバロンドール受賞者はクリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル代表)である。
4. コンフェデ杯の呪い
ワールドカップの「プレ大会」的な位置付けにあるコンフェデレーションズカップ。
これまで錚々たる顔ぶれが優勝しているが、この大会を制したチームはどういうわけか翌年(あるいは翌々年)のワールドカップでトロフィーを掲げることができなかった。
1994年ワールドカップの優勝国:ブラジル
1992年キング・ファハド・カップの優勝国:アルゼンチン
1998年ワールドカップの優勝国:フランス
1997年コンフェデレーションズカップの優勝国:ブラジル
2002年ワールドカップの優勝国:ブラジル
2001年コンフェデレーションズカップの優勝国:フランス
2006年ワールドカップの優勝国:イタリア
2005年コンフェデレーションズカップの優勝国:ブラジル
2010年ワールドカップの優勝国:スペイン
2009年コンフェデレーションズカップの優勝国:ブラジル
2014年ワールドカップの優勝国:ドイツ
2013年コンフェデレーションズカップの優勝国:ブラジル
コンフェデを制したチームの中で、翌年のワールドカップで最も好成績を残したのは1998年大会のブラジル。しかし、決勝戦でフランスに0-3で敗れ準優勝に終わった。
なお、昨年行われたコンフェデレーションズカップではドイツが優勝している。
5. 三連覇の壁
88年の歴史を持つワールドカップにおいて、連覇を成し遂げたチームは2つ。
1934年から1938年にかけてのイタリア代表と、1958年から1962年にかけてのブラジル代表だ。
しかしこれらのチームは続く大会で早々に敗退しており、三連覇の偉業は成し遂げることができなかった(イタリアは1950年大会に不出場、ブラジルは1966年大会でグループステージ敗退)。
今大会では、2014年大会を制したドイツが史上3チーム目となる連覇を目指す。