九州新幹線長崎ルート開業向け、「昔ながらの味」を土産に 「諫早おこし」に再び光 あすから東京でPR

 諫早名物の一つ、「諫早おこし」の魅力に再び光を当てる動きが出ている。2022年度の九州新幹線長崎ルートの暫定開業を前に、観光関係者が「手ごろで手軽、日持ちがする土産」として戦略を練り始めた。6月1~3日、東京で開く物産展「いさはやWEEK(ウイーク)」(諫早市など主催)は初めて「おこし」を中心にPR。「諫早へ“おこし”ください」-。
 「諫早おこし」の始まりは、佐賀藩領だった江戸時代中期。年貢米の増産を目指し、諫早湾を干拓して大規模な水田を開発した歴史を背景に、農民が余ったコメで作ったのが「おこし」。贈答品や祭りでのおもてなしに重宝されたという。
 他の地域と異なるのが、中国から長崎に伝わった「唐灰汁(あく)」を使い、おこしの原料の「乾米(ほしい)」を作った点。蒸した乾米に砂糖と水あめを加え、硬くならないように加熱し、程よい歯応えと香ばしく仕上げるのが特徴だ。
 高度成長期の雲仙観光ブームに乗り、1969年の長崎国体当時、諫早市内に「おこしセンター」を開設するほど人気を誇った。需要は落ち込みつつも、市内3業者がのれんを守る。諫早観光物産コンベンション協会は「新幹線開通を追い風に、諫早の歴史とともにアピールしたい」と話す。同ウイークでは定番商品をはじめ、新感覚の味や形が楽しめる計15品目を並べる。
 菓秀苑森長の森淳社長(49)は「お米の菓子の魅力を現代に発信する“おこしルネサンス(再興)”の機会に」と意欲。「白おこし」を唯一製造する杉谷本舗の川﨑洋和課長(44)は「『身をおこし、名をおこし、家をおこし』の言葉通り、縁起物の菓子と伝えたい」と話す。黒とピーナツが名物の「つかさ本舗」の植村尚弘社長(41)は「昔からの製法を変えず、手作業にこだわっている。懐かしい味を楽しんでほしい」とPRする。
 日本橋長崎館(東京都中央区)での同ウイークのほか、たちばな信用金庫(本店諫早市)の協力で東京スカイツリー(同墨田区)にも1~7日、出展する。

「諫早おこし」をメインにPRする「いさはやWEEK」

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