17年の世界粗鋼ランキング、上位10社シェア27%で横ばい 新日鉄住金は3位に浮上

 世界鉄鋼協会(ワールド・スチール)がまとめた2017年(暦年ベース)のメーカー別粗鋼生産ランキングによると、上位10社が占める世界全体でのシェアは27%となり、前年から横ばいだった。10社の合計粗鋼生産は前年比3%増の約4億5453万トンへ増えたが、世界全体の粗鋼生産も4%増の16億8900万トンへ増え、大手ミルがシェアを伸ばすに至らなかった。

 日本勢では、新日鉄住金が前年比271万トン増の4736万トンで中国の河鋼集団(HBIS)を抜き3位へ順位を上げた。単独での生産は減少したが、昨年3月に日新製鋼を子会社化したことや、31%の議決権を持つブラジル・ウジミナスの生産増が寄与した。

 JFEスチールは生産トラブルの影響で14万トン減の3015万トンにとどまったが、順位は8位で変わらなかった。神戸製鋼所は48万トン増の774万トンで50位、日新製鋼は15万トン減の350万トンで88位だった。

 海外勢では、アルセロール・ミッタルが同社発足以来12年連続で首位をキープ。中国宝武鋼鉄集団も発足以来2年連続となる2位だった。

 目立った動きでは、ブラジルのアトランティコ製鉄(CSA、現テルニウム・ブラジル)の売買成立で、アルゼンチンのテチント・グループが377万トン増の1175万トンと初めて1千万トン台に達し、32位へと前年の46位から大きく順位を上げた。

 片やCSAを手放したドイツのティッセン・クルップ(TK)は402万トン減の1322万トンとなり、前年の15位から29位へと大きく後退した。TKはインドを本拠とするタタ製鉄の欧州事業と統合する予定で、新会社の「ティッセンクルップ・タタ・スチール」は2300万トン前後となり11位の米国ニューコアに次ぐポジションとなりそうだ。

 鉄鋼業の拡大が著しいインド勢では、JFEスチールの持分法適用会社であるJSWスチールが115万トン増の1606万トンで19位となり、初めて上位20社にランクインした。一方、LNGの調達難で経営不振に陥ったエッサール・スチールは142万トン減の603万トンで56位へと下げた。エッサールは07年に買収したカナダのアルゴマも昨年から再建手続きに入っている。

 政治・地政学の影響が見られたのはイラン鉱工業発展改革機構(IMIDRO、モバラケ・スチール、フーゼスターン・スチールなどを傘下)で、経済制裁が解除されたことでスラブやビレットなどの輸出を積極化させ21位へと順位を上げた。しかし米トランプ政権がイランへ再び制裁を課す姿勢を示しており、今後の生産・販売動向が不透明になっている。

 ウクライナでは親ロシア政権による資産接収といった混乱でメティンベストやドンバス工業連合(ISD)が生産・順位とも落とした。

 ワールドスチールは50%以上出資する連結子会社の場合、全量を、30~50%出資の際は持ち分に応じ合算している。

 中国では中国鋼鉄工業協会(CISA)加盟社の公表数値を基にしている。

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