北松3縫製メーカーが紳士服ブランド「WESTORY」立ち上げ 技術力に定評 きょうから直売会 V長崎にもスーツ提供

 北松地域の三つの縫製メーカーが合同でオリジナルのスーツブランドを立ち上げた。その名は「WESTORY(ウエストリー)」。「WEST」に本土最西端、「EST」に最高技術との意味を込め、自分たちで新たな歴史を刻んでいく思いを「WE」「STORY」と表現した。販売は始まったばかりだが、サッカーJ1、V・ファーレン長崎に選手らが着用する公式スーツを提供するなど、工場発の新ブランドとして注目を集めている。
 3メーカーは松浦市のスラックス製造「エミネントスラックス」、平戸市のジャケット製造「アリエス」、北松佐々町のシャツ製造「山喜」(旧ジョイモント)。いずれも専業メーカーとして技術力に定評があり、有名ブランドの受注生産を数多く手掛けてきた。
 ブランド立ち上げに向けた動きは2014年に始まり、15年に開発プロジェクトを発足。担当者が各工場を見て回りながら互いの技術や製品の良さを分析した。デザインの試作を繰り返し、販売体制の協議なども重ね、昨年ようやく創設にこぎつけた。
 提案者の一人、エミネントスラックスの前田周二社長は、挑戦の背景に「縫製業を取り巻く環境の変化がある」と話す。輸入品との価格競争に加え、アパレルメーカーの決めた価格での受注生産が多く、経営は厳しさを増している。工場ブランドの創設は利益率を高め、良質な商品を買い求めやすい価格で提供する狙いがある。こうした姿勢にV長崎の髙田明社長が共感。J1初挑戦のチームを支える公式スーツとして提供が始まった。
 「WESTORY」のスーツはすべてオーダーメード。機能性重視の若者向けからビジネスマン向けの高級品など三つのタイプがあり、素材や裏地なども選べる。価格は3万9千円(税込み)からで、高級ブランドに負けない品質が自慢。注文は各工場での受け付けのみだが、県北地域での販売店設置も検討中。前田社長は「消費者に製品を直接届けるブランドとして確立させる」と話し、「技術力を強みに競争力は確保できる」と自信をみせる。
 3社は6月1~3日、初めての本格販売の場となる直売会を、松浦市志佐町の道の駅「松浦海のふるさと館」漁村体験学習施設で開く。午前9時~午後6時(3日は午後4時まで)。3社製品の特価販売もある。同日午後2時半からはV長崎、高木琢也監督のトークショーを予定。問い合わせはエミネントスラックス(電0956・72・0326)。

完成した「WESTORY」のスーツ=松浦市志佐町、エミネントスラックス

© 株式会社長崎新聞社