金属行人(6月1日付)

 仕事柄、情報メディアの変化には目がいくが、ここ数年の観察の結果「いよいよスマホの時代だな」と実感する。「何をいまさら」という読者各位の反応も予想されるが、それがそうでもないのだ▼スマートフォンは2010年頃から普及し始め、現在、国内の個人普及率は約6割(総務省の調査)。20~30歳代の若い世代では95%、40歳代でも8割に達する。つまり、いよいよビジネス最前線の現役バリバリが当たり前にスマホを使う時代になったのだ▼数年前に観察を始めた頃は、ゲームに熱中している若者の姿が目立っていた。そして個人間の情報交換。音楽鑑賞。通販サイトで買い物を楽しむ姿も。一方、ニュースを見ようとする姿はめったに見かけなかった▼ところが今、様相は確実に変わっている。ニュースサイトを閲覧する風景が明らかに増えている。情報提供者側のコンテンツ充実、スマホ対応型の情報提供という変化に乗じて、まさに今、スマホが情報メディアの軸になりつつある▼逆に、お手軽過ぎて人同士が直接話し合う「ライブ感」は希薄になる。コンプライアンスとの関係で制約も受けやすい。人恋しさはあれど。まさか「会合や面会もスマホ」という時代にはなるまいな、との雑感が頭をよぎった。

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