米人気女性ホスト、イバンカさんへの「禁句」使用謝罪

By 太田清

サマンサ・ビーさん。Montclair Film提供。ウィキメディア・コモンズから

 米国の女性コメディアンでTBSテレビの人気番組ホスト、サマンサ・ビーさん(48)が番組で、トランプ米大統領の長女イバンカ大統領補佐官に対しテレビなどでは使っていけない「禁句」で罵倒したところ、ホワイトハウスのサンダース報道官が謝罪を要求したほか番組スポンサーも降板を決定。結局、ツイッターでの謝罪に追い込まれた。米主要メディアが伝えた。 

 イバンカさんが5月27日、ツイッターに自分の2歳の息子を抱き上げ見つめ合う写真を投稿したところ、批判が殺到。父親のトランプ大統領が進める不法移民に対する「不寛容」政策の元、不法入国者親子を拘束後、親子を引き離すことを政権が決めたことへの反発が原因だが、ビーさんは番組でこれを取り上げ、イバンカさんについて「あなたのお父さんの移民政策をどうにかして! この無分別な●●●(女性の性器を表す卑語)」と罵倒した。 

 

 これに対し、サンダース報道官は31日「テレビ番組にふさわしくない言葉で、下劣で悪意ある発言だ。TBSと親会社のタイム・ワーナーは、このような明白なののしりの言葉が見過ごされないことを示すべきだ」と批判した。 

 これを受け、ビーさんは31日、ツイッターで「イバンカさんと視聴者に対し、番組でののしりの言葉を使ったことを、本当に謝罪したい。不適切で弁解できないものでした。一線を越えてしまいました。深く反省しています」と謝罪した。TBSも「あのような言葉は放送されるべきでなかった。われわれのミスでもあります。遺憾に思います」との声明を発表し、平謝りの姿勢を見せ、当該のクリップをユーチューブとツイッターのアカウントから削除した。また、番組スポンサーの自動車販売会社も「不快で受け入れがたい言葉だ。わが社の価値観を反映していない」とスポンサーから降りることを発表した。 

 

 ビーさんはカナダ出身のコメディアンで、テレビ番組ホストのほか作家、プロデューサー、女優としても活躍し、タイム誌の「世界で最も影響力のある100人」の一人に選ばれたこともある。政治家に対する歯に衣を着せない発言が人気で、これまでも番組で「禁句」を連発することで有名だった。 

  米国では、トランプ米大統領の熱烈なサポーターとして知られるコメディアン、ロザンヌ・バーさんが、オバマ前政権で大統領上級顧問を務めたアフリカ系米国人について「イスラム組織のムスリム同胞団と(映画)『猿の惑星』の子ども」などとツイッターに書き込んだことが反発を呼び、主演の人気ドラマを手掛けるABCテレビが秋の新シリーズを打ち切ると発表したばかり。一方、この発言に対しては、トランプ大統領もホワイトハウスも何の批判も加えていないことに対し、一部から疑問視する声が上がっている。 (共同通信=太田清)

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