産総研、超小型複合加工機を開発 レーザーと電解加工、高品位微細加工を実現

 産業技術総合研究所は先月31日、レーザー加工と電解加工を組み合わせた新しい原理の超小型複合加工機を開発したと発表した。

 従来は加工困難だった高アスペクト比(大きな縦横比)で極小径の穴や狭い溝を、溶融凝着物(デブリ)をほとんど発生させずに金属に加工できる。斜め穴加工、深さに応じて断面形状が異なる穴・溝加工も可能。ステンレスやチタンなどでの加工に対応できる。今後は小径多孔ノズル、超小径ステントなど自動車や医療デバイスなどで新たな金属製品の創出に応用されることが期待されている。

 今回開発したのはDEEL(ディープ・エレクトロケミカル・エッチング・ウィズ・レーザー・アシスタント)複合加工機と呼ばれる装置。一般に、レーザー加工は自由な形状に加工が可能だが、加工部分にデブリが発生することが課題で、電解加工は加工影響層がほとんど無いが、微細形状がしにくいという課題がある。これに対してDEEL複合加工機はそれぞれの短所を補い合いながら長所を残した加工を実現した。

 電解加工で材料表面に生成した電解絶縁被膜をレーザーで除去し、その部分のみを電解で加工するプロセスを繰り返すことで、デブリレスで小径・深穴加工を行うことができる。被膜が除去できる程度の小出力レーザーで済むほか、電解加工電力も数十ミリワットという低エネルギー化を実現した。また、幅430ミリ×高さ400ミリ×奥行き300ミリ、重量16キロの小型サイズで、容易に持ち運びできるのも特長。

 今後は協力企業を募り、共同研究などの連携を行うことで既存製品の高能率加工や新製品の創出を実現するための複合加工機の製品化を目指す考え。

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