「ヘイト集会許可は極めて軽率」川崎市日韓親善協会が抗議文

【時代の正体取材班=石橋 学】人種差別の扇動を繰り返す極右活動家、瀬戸弘幸氏が3日に川崎市教育文化会館(川崎区)で講演会を計画している問題で、市日韓親善協会は1日、市の対応への抗議文を福田紀彦市長に提出し、会館使用の不許可判断を求めた。元自民党参院議員の斎藤文夫会長と、地元選出で同党衆院議員の田中和徳会長代行の連名。

 抗議文は、会館の使用を容認している市に「ヘイトスピーチに反対し、条例制定に取り組んでいるはずの川崎市が人種差別団体から『ヘイトスピーチはしない』との約束を取り付けたと、子どもだましの言葉で使用を許可するとは人権擁護上、極めて軽率と言わざるを得ない」と非難。

 ヘイト集会を容認する一方で、混乱を理由に同館が空き施設を利用できないようにし、市民の権利を制限していることに「『木を見て森を見ず』のそしりを免れない。多文化共生をうたい多くの外国人が居住しつつある本市において、大きな汚点を残すことになりはしないか、良識ある市民の懸念するところである」と疑問を呈した。

 会館周辺には差別に反対する市民が抗議に集まることが想定されるが、「市民の間で紛糾を起こすことは絶対防ぐべき」と指摘。原因となっているヘイト集会について「もし相手が裁判にかけても、受けて立って司法の判断を仰ぐのが『市民の安全と尊厳を守る』と宣言した福田市政の取る道と確信し、使用不許可を重ねて要請する」と結んでいる。

 市はヘイトスピーチを防ぐガイドラインに照らし、開催当日まで「判断材料となる情報の収集を続ける」としている。瀬戸氏が最高顧問を務める極右政治団体・日本第一党の県本部は2日、川崎駅前で街宣活動を行うと予告している。

福田市長宛てに提出された抗議文

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