金正恩委員長の写真改ざんか ロシア国営テレビ

By 太田清

ロシア国営テレビの番組で使われた金委員長とラブロフ外相の写真。ドシチのツイッターから

 ロシアの改革派テレビ「ドシチ」など非政府系のロシアメディアは4日までに、国営テレビ「ロシア1」の番組で使われたラブロフ外相と握手する北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の写真が改ざんされた疑いがあると報じた。当初、ロシア外務省が公表した写真では口元を引き締め厳粛な表情だった金委員長の表情が、口元を緩め「笑顔」に見えるように変えられたという。  

 ラブロフ外相は5月31日、訪問先の平壌で金委員長と会談、委員長の訪ロを要請したが、問題となったのはその際に撮られた写真。3日放送された人気ニュース番組「ベスチ ニェジェーリ」で写真が使われたが、ドシチは大写しになった写真が外務省公表の写真と違っていると指摘した。 

 ロシア外務省のツイッター

 筆者が見ると確かに「笑顔」には見えないが、金委員長の口元の様子が変わっているのははっきりと見て取れる。一方、ラブロフ外相の表情は全く変わっていないようだ。

 改ざんされたとすれば、その理由は不明だが、ロシア国営テレビが両国の良好な関係を国民に印象付ける狙いがあった可能性もある。「ベスチ ニェジェーリ」は、プーチン政権支持と強烈な欧米批判で知られる有名キャスター、ドミトリー・キセリョフ氏が司会を務める毎週日曜日の人気番組。

 ロシア下院のメリニコフ第1副議長によると、ラブロフ外相は会談で金委員長にプーチン大統領の親書を手渡したが、親書には金委員長の極東ウラジオストク訪問要請が盛り込まれていたという。 (共同通信=太田清)

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