上沢は後を継げるか エースが退団しても新しいエースが誕生する日ハム

日本ハム・上沢直之【写真:荒川祐史】

主力が抜けても若手台頭&穴埋める

 日本ハムはチームの顔となる選手が抜けても、新しい選手が次々に台頭してくる。昨オフは正捕手の大野奨太が中日、守護神の増井浩俊がオリックス、投手と野手の二刀流・大谷翔平がエンゼルス、セットアッパーのマーティンもレンジャーズに移籍した。

 主力選手がごっそりと抜けた今季だが、4年目の22歳・清水優心がスタメンマスクをかぶり、救援陣も新外国人のトンキン、4年目の22歳・石川直也、2年目の玉井大翔、ルーキーの西村天裕といった選手たちが台頭し、大方の予想を覆して現在2位に位置している。

 このように主力選手が抜けても、若い選手が活躍することの多い傾向にある北海道日本ハム。その中でも、北海道に移転後、エースと呼ばれる投手が退団した翌年に新たな柱が生まれている。

ダルビッシュの穴を埋めた吉川光の活躍

 北海道移転後、長年エースを務めていたのがダルビッシュ有。2006年に12勝を挙げると、在籍した2011年まで6年連続2ケタ勝利をマークし、同時に5年連続防御率1点台も記録。最優秀防御率2回(2009年、2010年)、最多奪三振3回(2007年、2010年、2011年)、最高勝率(2009年)のタイトルを獲得し、日本ハムの絶対的エースだった。

 そのダルビッシュは2011年オフにポスティングシステムを利用してレンジャーズへ移籍。大黒柱を失ったが、翌年に先発ローテーションの柱に成長したのが当時6年目の吉川光夫投手だった。

 吉川光は高卒1年目の2007年に4勝を挙げ、同年の日本シリーズでは石井一久氏以来となる先発を経験した。将来のエース候補として期待されたが、2008年が2勝、2009年から3年間は1勝もできなかった。

 伸び悩んでいた吉川光だったが、栗山英樹監督が就任した2012年に覚醒する。開幕から先発ローテーションをつかむと、4月8日の千葉ロッテ戦で約4年ぶりの白星を手にした。

 8月17日の千葉ロッテ戦で自身初となる10勝を達成すると、最終的に14勝でシーズン終了。防御率は1.71を記録し、最優秀防御率のタイトルを獲得した。日本ハムはリーグ優勝、自身もリーグMVPに輝き、ダルビッシュの穴を埋める働きぶりだった。

大谷退団後の新エース候補に躍り出た上沢

 そして、大谷がエンゼルスへ移籍した今季、エース格の投手に成長したのが、1学年先輩にあたる上沢直之だ。

 上沢は2014年に8勝を挙げたが、翌15年が5勝、チームが10年ぶりに日本一に輝いた16年が0勝、17年が4勝。その間に右ひじを手術するなど、苦しいシーズンが続いていた。

 今季は4月17日の埼玉西武戦で2回1/3を投げて無失点で降板した以外は、全ての登板で5イニング以上を投げてきたが、30日の交流戦巨人戦で3回7安打8失点と打ち込まれ、今季2敗目を喫した。防御率は1.18という驚異的な成績から2.40まで悪化したものの、まだリーグ2位につけている。このまま、6年前の吉川光のようにエースの退団を忘れさせる活躍を見せることができるか。リーグ制覇へ向けて、カギを握る存在であることは間違いない。

(Full-Count編集部)

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