北陸精鍛、冷間鍛造能力を大幅増強 工場棟新設、フォーマー増設

 名古屋特殊鋼(本社・愛知県犬山市、社長・鷲野敦司氏)子会社、北陸精鍛(本社・石川県かほく市、社長・桑原浩彰名古屋特殊鋼取締役)は、冷間鍛造品の生産能力を大幅に増強した。自動車関連製品の需要拡大に対応して、4棟目となる工場棟を新設するとともに大型パーツフォーマーを増設。高精度製品の増産を機に、名古屋特殊鋼グループが参入を目指す部品生産事業の足掛かりとしたい考えだ。

 北陸精鍛は2012年、名古屋特殊鋼がグループ化した冷間鍛造品メーカー。自動車関連を中心とする中~大物の異形、中空製品を得意とし、高精度を武器に中部地区ユーザーとの取引実績を拡大している。

 16年に月産30万個で受注したステアリング関連製品に対し、受注後ユーザーが相次いで増産を要請。製造能力が不足することに加え、既存設備の停止リスクも考慮した上でフォーマーの増設を決めた。

 また、置場スペース確保のため旧事務所棟の位置に新工場を建設して同型の保有設備を移設し、事務所棟を耐震性能に優れたものへリニューアルすることとした。

 新設した「第4工場」は建屋面積が660平方メートル。3月の完成後、阪村機械製作所の横型6段打ちパーツフォーマー「BPF―660SS」を設置し、5月から本稼働を開始した。

 今月既存の同型機を「第3工場」から新工場へ移設、2台体制での量産により月130万個の需要へ対応する計画だ。

 金型加工を主力とする名古屋特殊鋼は、従来から自動車部品生産を新たな事業の柱とする構想を打ち出していた。今回精密自動車部品の量産が本格化し、同社グループの計画が実現に向けた一歩を踏み出したと言える。

 桑原社長は「ニーズ対応力の強化、生産数量増を目指すとともに、将来的な中核事業への成長を狙った基盤強化も進めたい」とビジョンを語った。

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