あのアニメのネットスラングの元ネタってなんなの?「キャベツ編」

アニメサイトや掲示板、またはツイッターなどでアニメ関連の話題を書き込んでいるコメントのなかには、よく見慣れない言語があることがある。ここではそんなアニメ発のネットスラングの解説をする。第1回目「キャベツ」についてだ。

アニメでは、よく調理シーンが描写されることがあるが、そこで作画が悪いと「キャベツになっている」と感想を書く人がいる。これは野菜「キャベツ」ではなくとあるアニメのワンシーンが調理作画が悪かったことが原因で、そのまま食材や食事の作画が悪い状態を形容する言葉となっている。

そのアニメは2006年に放送された『夜明け前より瑠璃色な 〜Crescent Love〜』で、3話の料理シーンで、葉っぱの質感もない、不気味な緑色のボールのようなキャベツが登場したことが元ネタだ。

ちなみに同作は、本編の作画もあまりよくないことでも有名で、「キャベツ」をそのまま全体の作画が悪い意味で使うこともある。同じ06年には『MUSASHI -GUN道-』も、「信玄餅」の作画で、同作のキャベツより、致命的な料理作画の悪さを披露していた。

実は06年というのは、現在のように深夜アニメが活性化する始まりの年でもあり、年間のアニメ放送本数が279本と、前年に比べ70本以上も増加した時期だった。その影響で制作現場の混乱が大きく、この年のアニメには『涼宮ハルヒの憂鬱』のように演出と作画の良さで話題となるアニメがある一方で、作画の悪さで話題になったアニメも多々あった。同作と同じく作画の低品質さで話題となった『MUSASHI -GUN道-』の監督・木下ゆうき氏はアニメ放送後の「現代視覚文化研究」(三才ブックス)の誌面インタビューで、当時のスケジュールの過酷さと人手不足を明かしている。

なお、『夜明け前より瑠璃色な 〜Crescent Love〜』は、DVD化に際して、かなりのシーンで作画の修正が加えられているので、オリジナルのキャベツのシーンを観ることは、本放送時のを観ない限りできなくなっている。肝心のストーリーに関しては、原作のPCゲームファンを中心に、賛否両論あるが、BGMに関しては『機動戦士ガンダムUC』や『進撃の巨人』のサウンド全般を担当するなど、今やアニメの劇伴にはなくてはならい、サウンドクリエイターの澤野弘之氏が担当しているので、かなり完成度が高い。(斎藤雅道)

© 株式会社ジェイプレス社