パ・リーグが交流戦通算1000勝達成 13年の激闘を振り返る名場面集(前編)

パ・リーグが交流戦通算1000勝を達成【写真:荒川祐史】

2005年には西武・西口がノーヒッターに1人と迫るも…

 6月3日、オリックスが巨人に勝利して、パ・リーグが交流戦通算1000勝に到達した。シーズンも中盤に突入する時期の勝敗はリーグ内の潮目も変えかねないだけに、ペナントレースのターニングポイントともなり得る。ここでは、多くのドラマが紡がれてきた13年にわたる激闘から、メモリアルとも呼べる試合を厳選。まずは、交流戦がスタートした2005年から2011年までをお届けする。

【2005年】
○5月11日 巨人-オリックス(東京ドーム) 4-4
分配ドラフトによりオリックスへ加入したJP(ジェレミー・パウエル)が、パ・リーグの投手では14年ぶりとなるホームランを記録する。巨人の内海哲也から放ったソロ本塁打は、両軍スコアレスの均衡を破る値千金の一発だった。JPはこの年、チーム最多の14勝をマークする。

○5月13日 西武-巨人(インボイスSEIBUドーム) 6-1
西武の西口文也が9回2死までノーヒッターの快投を演じたが、あと1人の場面で巨人の清水隆行にライトスタンドへ弾丸ライナー弾を放り込まれる。同年8月27日の楽天戦では9回をパーフェクトに封じたが、味方の援護がなく延長10回に失点。完全試合は幻に…。ただ、この年の西口は交流戦で両リーグ最多の6勝を記録して、シーズンでもキャリアハイの17勝を挙げた。

【2006年】
○5月11日 横浜-楽天(横浜) 4-8
石井琢朗(横浜)が通算2000安打のマイルストーンに到達。大記録まであと1本で迎えた初回の第1打席、楽天の愛敬尚史が投じた変化球を足元に弾き返すと、打球はセンター前へと抜けていった。史上34人目の快挙を達成した石井は、同年にキャリア最多と並ぶ174安打を放っている。

○5月25日 ヤクルト-楽天(神宮) 6-0
ガトームソン(ヤクルト)が交流戦史上初、史上72人目のノーヒットノーランを達成。球威抜群の速球を武器に、許した走者は四球と味方の失策による2人だけだった。打線は初回からラミレスの犠牲フライとラロッカの2ランで幸先よく援護する。その後も5回のラミレスの2ランに続き、6回にはガトームソンが自らのバットでセンター前タイムリーでダメ押し。外国人たちの活躍が光る試合だった。

○6月8日 福岡ソフトバンク-巨人(ヤフードーム) 4-0
当時、球界最高投手の1人だった斉藤和巳(ソフトバンク)が、その真髄を見せつけた。試合の中盤5回まで走者を許さず、6回に脇谷亮太(巨人)に初安打を打たれて完全試合は潰えたものの、直後に牽制でアウトに仕留める。結局、斉藤は以降も巨人打線を封じ続けて打者27人の準完全試合を達成。この前月には、交流戦で他リーグの6球団から勝ち星を挙げた初めての投手となっている。

【2007年】
○6月8日 ヤクルト-日本ハム(松山) 0-2
8回裏、無死の場面で降雨コールドが決定。試合は成立し、日本ハムが5月19日ソフトバンク戦から始まった連勝を球団史上最長の14まで伸ばした。結局、18勝5敗で交流戦優勝を飾り、MVPには5勝0敗の成績を残したグリンが選ばれている。勢いに乗ったチームは秋に球団史上初のリーグ連覇を達成した。

2008年には巨人のクルーンが162キロで当時日本最速を記録

【2008年】
○6月1日 ソフトバンク-巨人(ヤフードーム) 5x-4
3-3のまま決着がつかず、延長戦に突入した10回にスピードキングが魅せた。10回に登板したクルーン(巨人)は先頭の松田宣浩(ソフトバンク)を2ストライクに追い込むと、次に投じたアウトローのボール球で三振を奪う。スコアボードには「162km」の文字が躍り、場内はどよめいた。当時日本最速のスピードボールがお披露目された後の12回裏、ホークスが2点を奪いサヨナラ勝ちを収めた。

【2009年】
○6月11日 ロッテ-広島(千葉マリン) 23-2
ロッテが6回に打者20人の猛攻で、いずれもプロ野球記録となる1イニング15得点、15打点、14連続得点を挙げた。3番の大松尚逸がこのイニングだけで3度も打席に立つなど、攻撃は48分にも及んだ。結局、この試合に23安打で23得点を刻み、21点差は現在も交流戦史上最大の点差となっている。

○6月14日 オリックス-ヤクルト(京セラドーム) 10-14
2-2の同点で迎えた5回に、ヤクルトがプロ野球記録となる11打数連続安打で10得点と一気に畳み掛けた。ガイエルと飯原誉士はこのイニングに2安打。1か月後には、ギネス社からも世界記録に認定されている。

【2010年】
○6月7日 ヤクルト-ロッテ(神宮) 2-14
ロッテ打線が7回に10人連続安打と火を噴いた。8番の南竜介からヒットパレードが開演し、金泰均の満塁弾を含む一挙10点を叩き出す。1点ビハインドで始まったこのイニングだったが、終わってみれば大勝だった。

○6月7日 広島-オリックス(福山) 10-21
前述のロッテと同日に、オリックス打線も6回に10人連続安打をマークした。リードオフの坂口智隆は1イニング2安打を記録し、チームは交流戦記録となる25安打を放って21得点。この日は日本ハムも13得点を挙げており、パ・リーグ球団の打線が各地で大爆発した。

【2011年】
○5月21日 ソフトバンク-阪神(ヤフードーム) 7-0
ソフトバンクが杉内俊哉の4安打完封で快勝。前日の同カードにも山田大樹が完封を飾っており、チームは18日のホールトンから続く3試合連続完封勝利を収めた。この年は交流戦史上最高の勝率.818を樹立して2年ぶり3度目の優勝を果たすなど、前年のパ・リーグ王者がその強さを見せつけている。

(Full-Count編集部)

© 株式会社Creative2