法科大学院、神奈川ゼロに 横浜国立大19年度に募集停止

 横浜国立大(横浜市保土ケ谷区常盤台)は5日、法科大学院の2019年度以降の学生募集を停止する、と発表した。法科大学院への志願者、入学者とも減少して定員割れが続いており、同大は「改善を見込むのは困難」と判断。これにより、法科大学院を設置した県内4大学が、多様な経歴を持った法曹の養成を目指して始まった制度からすべて撤退することになる。

 

 同大は04年度に法科大学院を設置。もともと法学部を設けていなかったが、「地域連携型」の法科大学院を掲げ、神奈川県弁護士会の全面支援を受けながら、法学未修者に対する教育に重点を置いてきた。

 

 だが、志願者数は年々減少。初年度こそ定員50人に対して志願者は970人を数えたが、09年度(377人)に500人を切り、11年度(189人)に100人台、14年度(73人)から二桁台が続いていた。

 

 同大は定員を10年度に40人、15年度に25人と見直したが、13年度以降は入学者数が定員に届かない「定員割れ」が常態化。18年度の志願者数は33人、入学者数は9人で、いずれも過去最低を更新した。

 

 同大によると、これまでに169人が司法試験に合格した。現在は38人が在籍しており、教育課程を修了するまで法科大学院を存続させ、修了者に対しても支援を続けるという。

 5日に会見した法科大学院を統括する泉宏之教授は「期待に添うことができなくなったことは、誠に遺憾。深くおわびする」と謝罪。同大の長谷部勇一学長は「本当に残念」とし、志願者数減に歯止めが掛からなかった要因に、法科大学院を経ずとも司法試験の受験資格が得られる「予備試験」を挙げた。

法科大学院の2019年度以降の学生募集停止を発表する横浜国立大の関係者=横浜市保土ケ谷区

© 株式会社神奈川新聞社