「マクラーレンとトップグループとの差は大きい」。CEOブラウン、復活へのプレッシャーを認める

 マクラーレン・レーシングのCEO、ザック・ブラウンは、今シーズンここまでのパフォーマンスは期待を下回っていることを認めた。マクラーレンが上り調子であることは間違いないが、上位復活には時間がかかるものであり、地道に努力を重ねていくしかないと、ブラウンは言う。

 F1での優勝回数でフェラーリに次ぐ2位に位置するマクラーレンだが、2012年最終戦ブラジルGP以来、勝利から遠ざかっており、特に2015年と2017年は、コンストラクターズランキング9位と、その歴史に傷がつくような悲惨な結果に終わった。

 マクラーレンは2018年、パワーユニットをホンダからルノーに変更、復活を目指して一歩踏み出した。マクラーレンの経営陣はシーズン開幕前、2018年型MCL33で同じルノーを搭載するレッドブル・レーシングのパフォーマンスに近づけるとの予測を示していた。

 しかし、今シーズンの6戦まで終わった現時点で、マクラーレンはレッドブルに挑むというにははるかに遠く及ばない位置にいる。

 ブラウンはF1公式ウエブサイトのインタビューに答えて、「それ(レッドブルと戦える状況)には程遠い。すぐにはそんなことは起こらないだろう」と語った。

 一方でブラウンは、スペインGPでMCL33に導入されたアップグレード・パッケージにより、チームには大きな進化が起きるだろうとも主張している。

「アップグレードはうまくいった。明らかに一歩前進した。マシンの反応が良くなり、ドライバーたちも好感触を持ったので良かったと思う。実りある作業にできた」とブラウン。

「我々の風洞実験から導かれた予測値とも正しく相関していた。次のアップグレードに向けて、より良い土台作りができた」

 外部からは、ブラウンはしばしば、アマチュアのような部分があるとみなされている。彼のマーケティング能力には疑いの余地がないものの、F1チームの舵取り役として見れば、モータースポーツの頂点において成功を収めるために求められる厳格な経営能力の面で高い水準には達していないといった見方だ。
 言うべきことは言うブラウンだが、マクラーレンのトップとしてやるべきことをやっているのか、評価はまだなされていない。

「このスポーツには多くのねたみが渦巻いているように思う」とブラウンは言う。

「特に今この役職に就いてみて分かるのは、すべての人を満足させ続けるのは難しいということと、世論の我々に対する評価も常にギリギリで好意的といった程度のレベルだということだ」

「全体の中の10%か15%か20%か分からないが、一定の割合で私を批判する人たちはいる。だが、私はマクラーレンにとって正しいと思えることをやるしかないと考えているし、結果は自ずとついてくるものだ」

 ブラウンは、マクラーレンには時間が必要であり、来年、あるいは再来年にタイトルを獲得するようなことは難しいと示唆した。

「チームもプレッシャーにさらされているし、私自身も同様だ」とブラウンは言う。

「レースの実情が分かる身としてもどかしいことがあるとすれば、それは改善するのにどれほど長い時間がかかるか、ということが多くの人に理解されないからなのだ」

「今は、ひたすら前に進むしかない。努力をし、集中し、明確な方針を持って作業するだけだ」

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