ヴァン・モリソン&ジョーイ・デフランセスコ『ユーアー・ドライヴィング・ミー・クレイジー』 歌手としてのルーツはルイ・アームストロング

ヴァン・モリソン&ジョーイ・デフランセスコ『ユーアー・ドライヴィング・ミー・クレイジー』

 15年のアルバム『デュエッツ』ではジャンルを越えた多くのアーティストと共演、各パートナーにあわせてロック、R&B、ブルース、ゴスペル、ジャズそしてフォークまでを唯一無二のヴァン節で歌いこなしたヴァン・モリソン、彼の音楽のルーツは一体何処にあるのでしょう。齢72歳にして発表したこのアルバムにその答えがありました。「今の俺は自分のやりたいことだけをやる段階にいる、これは俺が始めた頃に戻ってきたもの」。さらに「二度と同じように歌わないルイ・アームストロングの即興的な歌が自分の音楽の基になった」と彼のルーツがジャズであることを明かしたのです。

 このアルバムは昨年サンフランシスコでのジャズ・フェスティヴァルでオルガン&トランペット奏者のジョーイ・デフランセスコと共演したことがきっかけで制作された本格ジャズ・アルバムです。ほとんどワン・テイクのスタジオ・ライヴでレコーディングされました。ジャズ版の「ハヴ・アイ・トールド・ユー・レイトリー」が聴きものです。

(ソニー・ミュージック・2400円+税)=北澤孝

© 一般社団法人共同通信社