被ばくリスク 研究推進を 福島医大、山下氏が講演 人材育成も使命

 チェルノブイリ原発事故や東京電力福島第1原発事故で被ばく医療に携わってきた福島県立医科大副学長で長崎大学長特別補佐の山下俊一氏が3日、長崎市で講演し、被ばくに伴う健康リスクの研究推進と人材育成が「大学の使命」と述べた。
 山下氏は原発は国内にとどまらず、中国だけでも運転中が19基、建設中が29基、計画中は225基あると紹介。「原発事故は世界のどこでも起こり得る」との心構えや実効性のある防災計画、訓練が必要とした。
 チェルノブイリ事故への対応では長崎、広島で蓄積された原爆被爆者調査のノウハウが生かされたが、福島の危機的状況の中で被ばくリスクを過度に評価した情報が出回るなど専門人材の不足が露呈したとして「学問と世間のつなぎ役を育てることが必要」と語った。
 講演は長崎、広島の大学や専門機関の研究者らが毎年開いている第59回原子爆弾後障害研究会の一環。原爆などに関する医学的、資料的な27項目の研究報告もあり、約130人が参加した。

被ばくリスクに関する専門人材育成の必要性を指摘する山下氏=長崎市平野町、長崎原爆資料館

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