トランプ就任から2年。今年最注目の「アメリカ中間選挙」のポイントはこの2つ!

2018年最大の政治イベントといえば11月に行われるアメリカ連邦議会選挙でしょう。大統領の4年任期の中間で行われることから、「中間選挙」と呼ばれています。

この中間選挙では、トランプ大統領の2年間の実績が問われ、所属政党の勝敗は審判として評価されます。つまり、今回はトランプ政権の実績が、共和党の勝敗で評価されることになるのです。

選挙に出るために、まずは「予備選挙」で勝たなければならない

日本では、候補者の選定において、90年台の小選挙区制度導入を契機として政党本部が持つ公認決定権の重要性が高まり、その結果党執行部の集権性が強まっていることが指摘されています。近年は公募を用いた候補者決定プロセスが一部で導入されており、候補者の選定をネットでの投票で決める例外的なケースもありますが、多くの場合は党本部やあるいは支部が候補者選定に大きな影響を有しています。

一方で、アメリカではあらゆる選挙で「予備選挙」が導入されています。上院選挙や下院選挙、州知事選挙でも民主党や共和党の公認候補になるには、予備選挙でまず勝たなければなりません。有名なベテラン議員でも予備選挙で敗北したために出馬を断念するという例もあり、現職も気は抜けません

注目点1:女性候補者の台頭

今回の中間選挙では2つの点に注目が集まっています。まず1つ目は、#MeToo 運動の影響を受けて女性候補者がどれほど台頭するのかという点です。昨年のハリウッドのセクハラ・スキャンダルに始まった#Metoo は既成政治批判にまで発展しています。

ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によれば、下院選・上院選に出馬を表明した女性の数は過去最多となっています。この傾向は、党派的なものではなく、民主党、共和党の双方で起きています。そして、これらの候補者の多くは、過去に受けたセクハラの経験を語り、社会変革を訴えています。

そして実際に、女性候補が躍進しています。ペンシルヴァニア州では上院・下院の現職議員の20人中、男性20人・女性はゼロ人です。しかし今回の中間選挙では民主党からは23人の女性候補が出馬し、6人が予備選において勝利しました。他の州でも女性候補は躍進しており、11月の中間選挙では女性の地位に関する問題が引き続き大きな争点となることでしょう。

注目点2:「反エリート候補」の台頭

2つ目の注目点は、トランプ氏のような「反エリート的な候補者」がどれほど台頭するのかという点です。

例えば、現職のアリゾナ州出身のジェフ・フレーク上院議員は出馬を断念し、引退することを表明しています。フレーク議員はメディアなどにおいてトランプ大統領を強く批判し、その批判を記した著作はベストセラーとなったことで有名です。しかし、世論調査において、フレーク上院議員はトランプ支持の候補者に完敗するという見込みが出てしまったのです。それほどまでに「エリートな政治家」は嫌われています。

この他にも、「反エリート」「反エスタブリッシュメント」を掲げる候補者が躍進している例があります。ケンタッキー州西部では元海軍パイロットで政治経験の無い女性エミー・マクグラス氏が、民主党多数派が支持する男性候補を破りました。

「エリート批判」「トランプ批判」どちらの意見も

一方で、「エリート批判」一色かと言えば、そうでもありません。例えば、「トランプよりもトランプ」であることを標榜していたウエスト・ヴァージニア州のドン・ブランケンシップ氏は、一時期支持を集めていましたが、最終的には共和党予備選挙に敗れています。

トランプ氏の4年間の任期の真ん中にあたる中間選挙。今年の11月に向けて、トランプ氏への評価とあわせて#Metooなど、様々な動きが起こりそうです。

 

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