不二ライトメタル、医療用マグネ材事業強化で研究施設が竣工

 不二サッシ子会社の押出形材メーカー不二ライトメタル(本社・熊本県長洲町、社長・山田晋氏)は同町の西日本事業部で医療用マグネシウム材料の研究施設を竣工させた。施設では血管を内部から拡張し血流を回復させる医療器具のステントで、使用後に体内吸収されるタイプの実用化に向けた研究を加速。実用化後は部材の初期量産も行う方針となっている。山田社長は「医療関連の開発は社会貢献の意味でも非常に大切。助けを必要とする人たちの一助になれば」と期待している。

 同社ではステント関連の研究開発を新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援の下、熊本県や日本医療機器技研、複数の医療機関などと連携して推進。新施設の竣工を機に、ステントに用いる新マグネシウム合金部材の実用化に向けた研究をさらに加速させる。

 施設には金型鋳造炉と小型押出機、レーザ加工機などを配備している。現在設備は試運転段階。稼働後は小型のマグネシウムビレットを鋳造し、押出品や加工部材の特性を検証する。その後は初期段階のテストに向けた部材供給を目指し、実用化されれば新施設で量産をスタートさせる。

 マグネシウムは人体に優しい金属として医療関連分野などで普及が期待される素材。生体吸収されるマグネシウム製のステントは治療後の取り出し手術が不要で、人体への負担が少ないことなどが特長となっている。

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