さすが長寿の日本。世界的にも珍しい「高齢な政治家」がこんなにも!

今年の5月27日に1982年から87年まで総理大臣を務めていた中曽根康弘氏が100歳の誕生日を迎えました。
総理大臣のような政府首班経験者が100歳を超えるというのは極めて珍しい事例といえます。ですが、歴史や世界を見渡すと、100歳近い年齢でも「現役の議員」となっている政治家もいます。
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1位は100歳の中曽根氏、2位は94歳の村山富市氏。年配の「総理大臣」経験者

現在、総理大臣経験者で存命中の最高齢は前述したように中曽根康弘氏の100歳、次が村山富市氏の94歳です。存命中という枠を外し、過去のデータまでさかのぼると東久邇宮稔彦王(東久邇稔彦氏)が戦後直後に57歳で総理大臣に就任し、54日間在職した後、102歳で死亡しています。この102歳という年齢は世界の政府首班経験者の最高齢記録であり、ギネスブックにも掲載されています。

引退後ではなく、総理大臣在職時の年齢に注目してみるとどうでしょうか。最も最高齢で総理大臣を務めていたのは大隈重信氏の78歳(1916年)です。また、総理大臣に就任したときの最高齢は鈴木貫太郎氏の77歳(1945年)となっています。

これらに共通しているのは、大日本帝国憲法下であること、そして本来は就任するとは思われていなかったという、2つの点があります。当時、大隈氏はすでに政界を引退していましたが、複数の総理大臣候補者がいたものの、様々な事情があって組閣にまで至ることができず、総理大臣を決定することができないという中で、急きょ総理大臣に就任したという事情があります。また、鈴木氏は戦争末期という特殊事情があっての就任でした。なお、日本国憲法下での最高齢で総理大臣を務めていたのは1878年9月生まれの吉田茂氏です。最後の吉田内閣である第五次吉田内閣は1954年12月で終了したので、76歳の時まで総理大臣をしていたことになります。

逆に若い方に注目してみましょう。最も若い総理大臣は初代総理大臣の伊藤博文氏で44歳です。また、日本国憲法下で最も若い総理大臣は現在の総理大臣の安倍晋三氏で第一次安倍内閣誕生時では52歳でした。

現在の最高齢の現職国会議員は82歳の片山虎之助氏。地方議員は90歳超えの方も

日本国の行政の長、最高権力者という重責である総理大臣と比べると、議員はもう少し高齢の人物が存在します。例えば、現役の国会議員で最高齢は参院選の片山虎之助氏の82歳です。片山氏は1989年の参院選に当選後、2007年の参院選で落選するまで、岡山県選挙区で当選し続けていました。その後、2010年の参院選で比例区から立候補して再度当選し、2016年の参院選でも比例区で当選しました。このまま、辞職等がなければ、任期は2022年7月までですので、86歳まで参議院議員の地位を保ち続けることになります。なお、衆議院議員の最高齢は伊吹文明氏の80歳です。

また、地方議会まで拡大すると90歳台の議員も存在し、熱海市議の山田治雄氏は今年で91歳です。

このほか、歴史的な過去のデータを見てみると国会議員でも90歳台は存在していました。その人物は「憲政の神様」と呼ばれ、日本の議会政治の最重要人物の一人である尾崎行雄氏です。尾崎氏は1858年12月生まれで、1890年の第1回衆議院選挙に当選後、1953年3月の94歳の時まで連続して衆議院議員を務めており(1953年の第26回衆議院選挙で落選)、この94歳は現在でも国会議員の最高齢記録となっています。また、当選回数25回、衆議院議員を継続して63年務めるという、今後まず破られることがないであろうと思われる「神様」と呼ばれるにふさわしい前人未踏の大記録も有しています。

海外には100歳超えも。マレーシアでは今年、92歳の首相が誕生

今までは国内の話でしたが、海外にはもっとすごい記録を有している人物がいます。

何と100歳を超えて議員を務めていた人もいました。それはアメリカのストロム・サーモンド氏です。彼は1902年12月生まれ、地方議員、軍人、サウスカロライナ州知事という経歴を持ち、1954年に上院議員に当選しました。その後、1956年に議員辞職をしましたが、同年の上院議員選挙でまた当選し、この当選以降、上院議員の地位を保ち続けました。そして、1996年の上院議員選挙で「100歳まで上院議員をやる」と宣言して、見事に当選。サーモンド氏は宣言通り、2002年12月に100歳という3桁の大台に乗り、アメリカ史上初の100歳の国会議員となったのです。その後、サーモンド氏は次の選挙には立候補せず、2003年1月に上院議員を退任し、その年の6月に死去しました。

また民主的に選出された大統領や首相といった地位に目を向けると、つい最近、記録的な事例がマレーシアで起きています。マレーシアでは今年の5月に総選挙が行われ、ここで初の政権交代が起きました。選挙に勝利した側の指導者は1925年生まれで、1981年から2003年までの20年以上首相を務めていたマハティール・モハマド氏でした。そして、選挙に勝利したマハティール氏は92歳という高齢で再び首相に就任したのです。世界的に見ても大統領や首相がこの年までこの地位を務めていたというだけでも極めて珍しいのに、新たに就任したという事例はほぼないと言えます。

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