南島原市議選情勢 地元重点、他町取り込みも 定数、候補者減 当選ライン上昇か

 市長選と同日選となった南島原市議選(10日投開票)は、前回から2議席少ない定数19に対し、22人(前職17、新人5)が立候補を届け出た。21議席を26人が争った前回は946票だった当選ラインも、今回は上がりそうだ。少数激戦の中、各候補者は地縁血縁に重点を置きつつ、5月13日で任期を終え引退した前職4人の支持層の取り込みにも奔走している。
 旧南高8町が合併して誕生した同市。少子高齢化、人口流出で有権者が減少する中、市議会は昨年12月の定例会で、定数を2削減する条例改正案を可決。今春には一部市議が戸別訪問を始めるなど、激戦を意識した動きが熱を帯びだした。新人5人のうち2人は旧町の議長や議員経験者。前職の一人は、「全くの新人でなく、知名度も基礎票も一定ある。油断禁物」と警戒を緩めない。
 立候補者数を旧町別に見ると、▽深江3▽布津5▽有家3▽西有家3▽北有馬3▽南有馬3▽口之津1▽加津佐1。布津では市内最多の5人が出馬し、特に混戦模様だ。布津を地盤とする候補者の一人は、「布津から6人出た前回から減ったとはいえ、激戦区に変わりない」と厳しい表情。有権者数が6千人以上いる大票田の有家、深江、西有家などにも攻め込む。各3人が立つ5町の候補者たちも、口之津や加津佐まで足を延ばし、集票を図っている。
 一方、選挙権年齢を「18歳以上」に引き下げた改正公選法の施行後、初めての同市議選だが、候補者たちは手応えをつかみあぐねている。「若者とのつながりが少なく、会員制交流サイト(SNS)も使っていない」という候補者が多く、若年層への浸透も鍵だ。
 有権者からは「(2006年の)市発足から10年以上。単に地縁だけでなく、市全体の発展のために政策の中身で判断したい」(71歳の農業男性)といった声が聞かれるが、盛り上がりはいまひとつ。候補者の訴えに大きな争点は見られないことも要因のようだ。
 前回市議選では、19番目の当選者の得票が1002票。各陣営は当選ラインを約1100票と踏む。ある候補者は「旧町間での票の奪い合いを覚悟しながら、落選の下位3人に入ってしまわないよう、とにかく一軒でも多く回る」と懸命だ。
 市長選が無投票だった前回市議選の投票率は、過去最低の75・55%。今回は市長選も選挙戦となったため、低下傾向の投票率は前回並みか、それ以上に回復するとの見方が多い。
 有権者数は4万25人(男1万8533、女2万1492)=2日現在、市選管調べ=。

22人が立候補した市議選のポスター掲示板=南島原市内

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