【あなたは何しに?】かつて“ル・マンの帝王”と呼ばれた男、モナコGPに現る

 F1シーズンを転戦していると、いろいろな人との出会いがある。そんな人たちに、「あなたは何しに?」を尋ねる連載企画。今回はモナコGPを訪れたジャッキー・イクスだ。

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 モナコGPの初日、ロズベルグ親子によるチャンピオンマシンデモランが行われているころ、ピットレーンで注目を集めていたのが、ジャッキー・イクスだ。

 イクスといえば、84年のモナコGPで競技役員も務め、チェッカーフラッグを振る大役を担ったこともあり、これまでも何度かモナコGPを訪れている。この日はモナコ出身のシャルル・ルクレールのガレージを訪れて記念写真を撮っていた。

 この撮影会で、一際目立っていたのが、イクスの妻、カジャ・ニンだった。アフリカ中部の内陸に位置するブルンジ共和国に1959年に生まれ、隣国のコンゴ民主共和国(当時はザイール)に渡ったニンは、イクスとの結婚後にベルギーへ移住。1992年に歌手としてデビューを飾っているシンガーだ。

 スティングのツアーをサポートしたり、ハワード・ジョーンズと共演するなど、ヨーロッパでは知る人ぞ知るアーティスということで、ベルギーのメディアは興奮状態だった。

 そんな有名な妻を同伴させていたイクスも、今月の16日から始まるル・マン24時間レースでは、大役を担う。1969年、75年、76年、77年、81年、82年と6度の優勝を飾っているイクスをグランド・マーシャルに抜擢。決勝レーススタート直前のフォーメーションラップで、イクスはペースカーに乗り、レーシングカーを先導することになったのだ。

 今年のル・マンにはカナダGPで300戦を迎えるフェルナンド・アロンソと、F1で309を戦って引退したジェンソン・バトンも参戦する。その2人のF1ワールドチャンピオンたちをはじめ、世界のトップドライバーたちを先導するイクス。“ル・マンの帝王”と呼ばれた男にふさわしい大役だ。

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