バンドに情熱を燃やす長崎県内高校生 「自分の世界が広がった」

 「ワン、ツー、スリー」
 ドラムのカウントに合わせ、エレキギターがうなり、ベースの低音がズンズン響く。ロックサウンドは、パワフルでエネルギッシュ。長崎市の島村楽器長崎浜町店で働く藤原雄介さん(29)によると、「少子化やスマートフォンゲームの普及など趣味の多様化で、若者のバンドは減りつつある。でも、純粋に音楽が好きな若者たちは、集まって活動を楽しんでいる」という。バンド活動に情熱を燃やす県内の高校生を訪ねた。
 「この部分はギターソロが2小節入るよ」-。メンバーが意見を出し合いながら、曲を仕上げていく。島原市のライブハウス「カシュカシュ」で、人気ロックバンド「RADWIMPS(ラッドウィンプス)」の曲の練習に励むのは、同市のロックバンド「Birth」。友人4人でつくり、結成4年。ライブハウスや地元の祭りなどのイベントで活躍している。
 リーダーの上田純一郎さん(16)=県立島原高2年=は、「自分たちの演奏が、地域活性化にもつながればうれしい」と意欲的だ。
 部活動としてバンド活動を認めている高校もある。長崎市の長崎玉成高では、軽音楽部を約10年前に創部。現在、部員は16人で、ほとんどが初心者。バンドを組むのはこれからで、今は放課後になるとそれぞれギターやピアノなどで、好きな曲を個人練習している。目標は9月にある文化祭のバンドでのステージだ。
 顧問の松尾直樹教諭(56)は「楽器を習得するのは根気が必要だが、みんな熱心に取り組んでいる。こうした姿勢が学業や日頃の生活態度にも反映されたらうれしい」と語る。
 ミュージシャンを発掘するコンテストなどに出場しながら、島村楽器長崎浜町店の教室でアコースティックギターの腕を磨くのは長崎市の女子高校生2人組「Find find.」。濵口稜子さん(18)=純心女子高3年=と、田中ひなたさん(15)=長崎日大高1年=は、個別のレッスンを通じて知り合い、意気投合。昨年6月に結成した。オリジナル曲にも挑戦中だ。
 2人は今、一緒にレッスンを受けている。講師から「歌の音程がずれないように気を付けて」などと指導を受けながら、質の高い演奏を目指し、努力を重ねている。
 濵口さんは活動の魅力をこう話す。「音楽仲間との出会いを通じて自分の世界が広がった。これからもずっと音楽に取り組んでいきたい」

練習に励む「Birth」のメンバー=島原市中堀町、ライブハウス「カシュカシュ」
文化祭に向けて演奏の上達を目指す軽音楽部=長崎市愛宕1丁目、長崎玉成高
アコースティックギターを練習する2人組の「Find find.」=長崎市、島村楽器長崎浜町店

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