6連勝中のヤクルトはリーグトップの54犠打を記録、1試合平均1.06個も1位
昨年、球団史上ワーストの96敗を記録したヤクルトが、今年は一味違う活躍を見せている。
交流戦は、初戦のロッテ戦に負けた後、6連勝。5日には”交流戦番長”のソフトバンクを12-6で下し、交流戦首位に並んだ。ペナントレースでも5位に浮上。まだ負け越しは4であり、ポストシーズン進出が十分見込める位置にある。
昨年と今年のヤクルトのオフェンス面のデータで、大きく変化したのが「犠打」だ。2017年と2018年のセ・リーグ、1試合の犠打数の推移。
2017年
1広島 0.81(143試合116犠打)
2中日 0.80(143試合115犠打)
3阪神 0.79(143試合113犠打)
4ヤクルト 0.76(143試合109犠打)
5巨人 0.61(143試合87犠打)
6DeNA 0.59(143試合84犠打)
2018年
1ヤクルト 1.06(51試合54犠打)
2広島 0.71(52試合37犠打)
3巨人 0.57(54試合31犠打)
4阪神 0.57(51試合29犠打)
5中日 0.47(55試合26犠打)
6DeNA 0.42(50試合21犠打)
ヤクルトの犠打数はリーグトップの54犠打、1試合当たりの犠打数は1.0を超えている。いずれの数字も12球団でも1位だ。試合展開を子細に見ても、今季のヤクルトは重要な場面で犠打を見事に決めている。
小川監督、宮本ヘッドコーチのもとで犠打増加
6月1日の楽天戦、3-1で迎えた8回の追加点の好機、連続四球による無死一二塁で6番・西浦は一塁へ犠打。このあと、2点が入った。
5月26日のDeNA戦、1-1の7回では、安打で出塁した先頭・西浦を大引が投犠打で二塁に進め、決勝点につなげている。
ヤクルトと言えば、バレンティン、山田哲人を中軸とする豪快な打線が売り。本塁打が良く出る神宮球場を本拠とするだけに、つなぐ野球はそれほど得意ではない印象があった。
今季の大きな変化が、小川淳司新監督、宮本慎也新ヘッドコーチの就任によるものなのは、間違いなところだろう。特に宮本ヘッドは2001年にNPB記録となるシーズン67犠打を記録している。キャンプ中から選手にマンツーマンで指導するシーンが良く見られたが、その成果が表れつつあるようだ。
セ・リーグ犠打数5傑。
1西浦直亨(ヤ)11
1梅野隆太郎(神)11
3中村悠平(ヤ)10
4菊池涼介(広)7
4京田陽太(中)7
今季のヤクルトの遊撃手はベテランの大引が三塁に回り、若手の廣岡大志と西浦直亨が競り合っていた。当初は廣岡の起用が目立っていたが、今は西浦が定位置を確保。規定打席にも達している。西浦は.274と打率も高いが、リーグトップタイの11犠打。つなぐ野球での貢献度の高さも、レギュラー定着の一因となっている。
今季のセ・リーグは広島以外の5球団の差がほとんどない。大事な場面での犠打がチームに勝利を呼び込むケースが、これからも見られるだろう。
地味な記録だが「ヤクルトの犠打」に注目したい。
(Full-Count編集部)