2006年ドイツW杯の「かっこいい代表ユニフォーム」ベスト5はこれ!

日本のユニフォーム好きならおそらく誰もが一度はお世話になったであろうサッカーユニフォームサイト『Football Shirts Voltage.com(サッカー各国代表&クラブユニフォーム)』を運営する小野有紀(yuukiono99)氏が、ワールドカップ大会別のベスト5ユニフォームを選出する企画。

第4回は、2006年のドイツ大会!(※第3回はこちら

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5位 ウクライナ(lotto ホーム)

ワールドカップ初出場ながら、ベスト8の快挙を成し遂げたウクライナ代表が着用したのはlottoの「マグマ」と名付けられたモデル。

契約している代表(セルビア・モンテネグロ、パナマなど)やクラブ(サラゴサ、パレルモ、トゥールーズ、大宮など)がこぞって採用したというlotto最大のヒット作。シンプルな構成ながらベースカラーとサブカラーの組合せだけで、そのチームの個性を出せるという、まさにデザインの勝利と言える一枚である。

世界中のフットボールシーンで活躍した「マグマ」の最高峰の舞台が、このウクライナ代表の「W杯ベスト8」であったことは間違いのない事実である。

なぜなら、このモデルとベスト8の肩書きをもって臨んだユーロ2008予選ではグループ4位に沈み、栄光は一瞬のものになってしまったからである。

4位 フランス(adidas アウェイ)

adidas2006は数種類のフォーマットを各チームに配分、また同じ国でもホーム&アウェイモデルで異なるフォーマットを採用するという画期的なサプライ・システムを作り上げた。

フランス代表の場合、ホーム&アウェイとも「ユナイテッド」というフォーマットを採用したが、シンプルなホームモデルに対し、胸にパネルを配してカスタマイズしたアウェイモデルはその表情が大きく変わる。さらにそのパネルを赤から青のグラデーションにしてトリコロールを表現するとともに、より近未来的な印象に仕上げる事に成功した。

決勝トーナメントに入ってからは4試合ともこのモデルを着用し、スペイン、ブラジル、ポルトガルといった強豪を退け決勝に到達する。しかしこの大舞台で、ジダンがマテラッツィに頭突きをかませ一発退場、チームもPKで敗れるという信じられない結末が待っていた。

この大会を最後に代表を引退すると公言していたジダンの「代表ラストモデル」は残念な結果で終わってしまったのである。

3位 コスタリカ(Joma ホーム)

シンプルなフォーマットを多用するPUMAやadidasのメガメーカーに対し、コスタリカただ1ヶ国をサプライするJomaが意地を見せた。

フリーハンドで胸に描かれた2色のモチーフが異彩を放つナイスデザインでコスタリカ代表の士気を上げた。なお白地に同じフリーペイントモチーフ、さらに腹部にストライプという、よりインパクトのあるサードモデルも存在したが、本大会では着用されなかった。

結局3連敗で大会を去ることになるが、ホスト国ドイツを相手にした大会のオープニングマッチで、二度も同点に追いつくなど強豪に食らいついたコスタリカ代表。

この大会を最後にJomaと袂を分かち、翌2007年からはlottoの「マグマ」を着用することになる。

2位 ガーナ(PUMA アウェイ)

ワールドカップ本大会へは初出場となったガーナ代表。予選までは黄色をホームカラーとしていたが、世界デビューを前にサプライヤーをPUMAに変更し、ホーム白/アウェイ黒のニューモデルをリリースした。

前哨戦のアフリカネイションズカップにはニューモデルを着用して臨んだが、グループリーグ最終戦で格下のジンバブエに敗れ、まさかの敗退に終わった。この試合で着用していたのが黒のアウェイモデル。サポーターはこのモデルのリコールを協会に突き付けたという。

そして本大会。イタリア、チェコ、アメリカと同居したE組は、グループリーグ2戦を終えて4チームともに突破の可能性が残る「死の組」と化した。

迎えた最終戦、アメリカと対峙したブラックスターズは真っ赤なアウェイモデルを初投入してサポーターの眼を見張らせた。そしてこの試合、終盤のアメリカの猛攻を凌いで2-1で逃げ切り、アフリカ勢で唯一のベスト16を成し遂げたのである。

この大会以降、ガーナ代表のアウェイモデルはすべて赤が採用されているのだ。

1位 日本(adidas ホーム)

この大会ではシェア3位に甘んじたadidas。サプライした6ヶ国の内5ヶ国で主力フォーマット「ユナイテッド」を採用したが、我が日本代表もホームモデルで同フォーマットを取り入れた。

この頃から各国ともニューモデル投入時には本格的なコンセプトワークが行われ、「SAMURAI BLUE」命名とともに、脇に刃文(刀身に見ることができる波模様)のモチーフが入れられた。「ユナイテッド」は各チームによってさまざまなカスタマイズが行われたが、そのなかでも「日本らしさ」をよく表した素晴らしいデザインと言えよう。

中田英寿、中村俊輔、稲本潤一、小野伸二、高原直泰らを擁し「史上最強」と呼ばれたジーコ・ジャパンだったが、初戦オーストラリア戦後半の「魔の8分間」からリズムを崩し、1勝を挙げることもできずに大会を去ることとなった。ただグループリーグ突破のために「ブラジルに2点差以上の勝利」が必要だった日本代表にとって、玉田の先制点から同点弾を浴びるまでの12分間は、間違いなく「夢の時間帯」であった。

結局、1-4の惨敗となったブラジル戦後、ドルトムントのピッチに倒れ込んだ中田英寿の代表引退とともに、苦い思い出の一枚となった。しかし「SAMURAI BLUE」のコンセプトは、その後の日本代表モデルにも大きな影響を与え続け、ロシアの地でも飛躍を誓う「褐色モデル」が登場するのである。

メーカーシェア

2006ドイツW杯出場32ヶ国のメーカーシェア

PUMA(12)
イタリア・チェコ・スイス・ポーランド・パラグアイ・サウジアラビア・イラン・チュニジア・コートジボワール・ガーナ・アンゴラ・トーゴ

NIKE(8)
オランダ・ポルトガル・クロアチア・ブラジル・韓国・アメリカ・メキシコ・オーストラリア

adidas(6)
ドイツ・フランス・スペイン・アルゼンチン・日本・トリニダード&トバゴ

UMBRO(2)
イングランド・スウェーデン

lotto(2)
セルビア・モンテネグロ・ウクライナ

Joma(1)
コスタリカ

marathon(1)
エクアドル

※第5回の「2010年南アフリカW杯編」は、6月9日に公開。

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