エボラ出血熱:流行地で対策進む――コンゴ民主共和国

エボラ出血熱の集団感染が続くコンゴ民主共和国 (以下、コンゴ)で国境なき医師団(MSF)は感染が広がった同国北西部に位置する赤道州で緊急対応を継続している。エボラ対応の経験豊富なスタッフを派遣し、患者や感染疑い患者のケアにあたるとともに、治験予防接種や感染者に接触した人の追跡と経過観察などを行っている。

コンゴ保健省によると2018年5月8日に流行宣言が出された後、6月6日までに37人がエボラの感染が確定し、27人(うち感染確定は13人)が死亡した。感染が確定した人のうち23人は症状が回復し退院した。現在は感染確定患者1人、感染疑いの患者4人が治療を受けている。

人口100万人以上を抱える州都ムバンダカでは、感染者に接触した人の追跡と経過観察が強化されており、現在のところ感染確定患者は4人、感染疑い患者1人にとどまっている。

現地では患者のケアにあたる医療従事者とスタッフ、および感染者に接触した人が対象にエボラの治験ワクチン「rVSVDG-ZEBOV-GP」の接種が開始されており、これまでに世界保健機関(WHO)が1737人、MSFが670人に接種を行った。

現在MSFは赤道州内4ヵ所に拠点を置き、エボラ対応で最も経験のある海外派遣スタッフ75人と現地スタッフ360人が活動している。ムバンダカ、ビコロ、イボコには隔離病棟を備えたエボラ治療センターを設置、合計45床で患者のケアにあたっている。イボコの北にある町イティポでは14床の一時滞在センターで感染が疑われる人びとを、検査結果が出るまで隔離してケアしている。また患者と直接または間接的に接触した人びとの追跡調査、ならびに地域におけるエボラに関する啓発活動を行い、予防策のほか安全な埋葬手順についても説明している。

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