中日松坂は“荒れ球”が武器? 好敵手の3冠王・松中氏が指摘する好投の要因

3勝目から一夜明け、松中氏と談笑する中日・松坂大輔【写真:福谷佑介】

解説でナゴヤドームを訪れ久々対面「元気そうで良かった」

 7日、ナゴヤドームで行われたソフトバンク戦。昨季まで3年間在籍した古巣との先発マウンドに上がったのは、中日の松坂大輔投手だった。序盤は制球に苦しみ、ピンチを背負ったが、終わってみれば5回3安打1失点の粘りの投球だった。味方打線の援護があり、リリーフ陣が何とかリードを守り抜いたことで古巣から今季3勝目を挙げた。

 5回を終えて104球。左臀部がつったこともあって5回で降板となった右腕が、一夜明けた9日、本拠地スタンドの階段登りやキャッチボールなどで練習を行い、コンディションには問題ないことを伺わせた。練習終了後には、前日投げ合った千賀滉大投手や柳田悠岐外野手、松田宣浩内野手ら、かつてのチームメートと次々に挨拶、談笑し、旧交を温めていた。

 この日の練習中には、元ソフトバンクで現在は解説者などを務める松中信彦氏と言葉を交わす場面も。平成唯一の3冠王である松中氏と、西武時代の松坂はライバルとして数々の名勝負を繰り広げてきた。この日は中日の地元、愛知県のテレビ局で解説を務めるために、ナゴヤドームを訪問。松坂とも久々に対面した松中氏だが、現在の右腕をどう見ているのだろうか。

「元気だな、と思いますよね。肩は痛くないと言っていて、元気そうで良かったですね。中6日あれば投げられます、とは言っていたね。疲れは取れにくいみたいだけど。やっぱり頑張っている姿を見るのは、嬉しいよね、元気そうで良かった」

松坂好投の要因は“荒れ球”にあり?「逆に打者が絞りづらいからいいんじゃないか」

 まず何よりも、1軍で故障なく投げられている姿を喜んでいた松中氏。キャンプ時期には、松坂の投球フォームを「胸のロゴと顔の動きが一体化していて、捻れる動作があまりないように見える。僕も現役の最後のほうがそうだったんだけど、体を捻らないとパワーが出ない。大輔を見ると、体を捻じろうとすると顔も一緒に向いてしまっている」と指摘していたが、前日までの投球を見た印象を「僕のイメージであった顔のところも多少良くなってきている。だから勝負できているのかな」と語った。

 ここまで松坂は7試合に先発して3勝3敗、防御率2.41と右肩故障に苦しみ、過去3年間でわずか1試合しか投げられなかったとは思えないほどの投球を見せている。現在の投球スタイルを「ボールを動かして打ち取っているし、自分で変わろうとしているというか、そういうところは見れるよね」と松中氏は言う。

 前日は5回104球を要し、ここまでの登板でも四球、球数が多くなっている右腕。だが、松中氏はここまで好投が続いている要因に、この“荒れ球”があると指摘した。「ちょっと球数が5回で100球では多すぎるんだけど、逆に打者が絞りづらいからいいんじゃないか。荒れていると思っていたら、ここぞで良いところに決まっている。まとまってくると、逆に良くないかもしれない」。制球が荒れながらも、ここ1番では良いところに投げ込んでいることで、相手打者を苦戦させていると語っていた。

(Full-Count編集部)

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