2010年の南アフリカW杯、「かっこいい代表ユニフォーム」ベスト5はこれ!

日本のユニフォーム好きならおそらく誰もが一度はお世話になったであろうサッカーユニフォームサイト『Football Shirts Voltage.com(サッカー各国代表&クラブユニフォーム)』を運営する小野有紀(yuukiono99)氏が、ワールドカップ大会別のベスト5ユニフォームを選出する企画。

第5回は、岡田ジャパンのベスト16進出が記憶に残る2010年の南アフリカ大会!(※第4回はこちら

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5位 アメリカ(NIKE アウェイ)

自国メーカーのNIKEがサッカー界に進出した直後の1995年にサプライヤーを変更して以降、時代の流れもありデザインのシンプル化が進んでいたアメリカ代表だが、アウェイモデルに関しては、モデルチェンジの度に趣向を凝らしたデザインを打ち出してきていた。

南アフリカW杯用アウェイモデルは、ネイビーをベースに白のサッシュ(タスキ)が入ったデザイン。これは1950年ブラジルW杯でイングランドを相手に1-0のアップセットを演じた時のモデルをオマージュしたもの。もしNIKEが、今大会初戦でイングランドとの対戦が決まった後に、そこに照準を合わせてきたとしたら、最高のコンセプトワークと言えるのではないか。

果たして、このモデルを着用して臨んだイングランド戦をドローで切り抜けたアメリカ代表は、グループリーグ最終戦のアルジェリア戦、敗退濃厚の後半ロスタイムにドノバンが劇的な決勝ゴールを決め、奇跡の逆転突破を成し遂げたのである。

4位 ドイツ(adidas アウェイ)

1994年アメリカ大会から2006年ドイツ大会まで、ワールドカップ24試合すべてでホームモデルを着用してきたドイツ代表。本大会でのアウェイモデル着用は1990年イタリア大会準決勝イングランド戦まで遡ることになる。

その時の緑モデル以来、アウェイカラーとしては濃緑、赤、黒などが採用されたが、南アフリカ大会では黒のモデルが用意された。ポイントカラーは赤とゴールド。国旗でも使われているこの三色は、1813年にナポレオンと戦ったリュッツォウ義勇軍の軍服(黒いマント、赤い肩章、金ボタン)に由来している、と言われる。

グループリーグのガーナ戦で、本大会では20年ぶりにアウェイモデルを着用、さらに準々決勝、3位決定戦でも着用された。また4年後のブラジル大会では、赤×黒のアウェイモデルを装備した準決勝でホスト国を7-1で蹴散らす「ミネイロンの惨劇」の敵役にもなるのだ。

つまりドイツ代表は、1990年以降本大会でアウェイモデルを着用した8試合で無敗を続けているのだ。

3位 カメルーン(PUMA アウェイ)

2002年以降、PUMAはアフリカ各国への攻勢を強め、大陸内での地位を確固たるものにしてきた。その集大成として迎えた南アフリカ大会ではシェアは3位に甘んじたものの、カメルーン、ガーナ、コートジボワール、アルジェリアの4ヶ国を送り込んでいる。

PUMAのデザインの特徴として、その国のシンボルや民族紋様が取り入れられている事が挙げられる。

カメルーン代表はこの南アフリカ大会では、アウェイカラーにイエローを採用、シンボルのライオンを右肩にシャドーで入れ、身頃は赤のストライプ。ここまではありがちなのだが、そのストライプをフリーハンド風にする事で、パンチを効かせたデザインに仕上げている。

この極彩色モデルで臨んだグループリーグ初戦で、本田圭祐の一発を浴びた後は結局いいところなく、3連敗で大会を去ることになる。

ただ、ネイションズカップ2002のノースリーブモデル、ドイツW杯予選2005のワンピースモデルと、PUMAサプライ国のなかでも特別扱いのインパクトの系譜は、この大会でも残せたのではないだろうか。

2位 ホンジュラス(Joma アウェイ)

1982年スペイン大会以来、28年ぶりの本大会出場を果たしたホンジュラス代表。予選モデルやゴールドカップモデルでは胸に大きく入った「H」のロゴや、中央アメリカ連邦再統一への希望を表すという五星が有名だが、このモデルではどちらも使われていない。

その代わりに配されたのがグラデーションのパネル。特に青のアウェイモデルは全身同色コーディネートも相まって、近未来的な仕上がりを見せている。

さらに腹部にストライプを組合わせたサードモデルもリリースされたが、残念ながら本大会では着用されなかった。

未勝利無得点で大会を去ることとなったホンジュラス代表だが、その洗練されたユニフォームはアフリカの地でも鮮烈な印象を残したのである。

1位 セルビア(NIKE ホーム)

ユーゴスラビア時代、セルビア・モンテネグロ時代の青や紺に対し、2006年に発足したセルビア代表は赤をホームカラーとした。

セルビア単独で初めてのワールドカップモデルでは、国家的・宗教的・民族的象徴となっているセルビア十字をモチーフとしたデザインを取り入れた。代表チームの場合、その国の背負う歴史的なモチーフをデザインにすることも多く、特にヨーロッパではその傾向が強い。中世以降、国家として栄枯盛衰や統廃合を繰り返してきた国々にとって、それらのモチーフは国民が一つになるのに適しているからであろう。

優勝候補ドイツを破ったものの、ガーナ、オーストラリアに敗れ、1次リーグで姿を消したセルビア代表。3試合ともホームモデルを着用したが、すべて違うコーディネイトで戦い、特にドイツ戦では、この大会から多く見られた全身同色コーディネイトで登場したのである。

そしてこのモデル以降、セルビア十字は代表ユニフォームのシンボルモチーフになっていくことになる。

メーカーシェア

2010南アフリカW杯出場32ヶ国のメーカーシェア

adidas(12)
ドイツ・フランス・スペイン・ギリシャ・デンマーク・スロバキア・パラグアイ・アルゼンチン・日本・南アフリカ・ナイジェリア・メキシコ

NIKE(9)
オランダ・ポルトガル・セルビア・スロベニア・ブラジル・オーストラリア・韓国・アメリカ・ニュージーランド

PUMA(7)
イタリア・スイス・ウルグアイ・ガーナ・コートジボワール・カメルーン・アルジェリア

UMBRO(1)
イングランド

LEGEA(1)
北朝鮮

BROOKS(1)
チリ

JOMA(1)
ホンジュラス

※第6回の「2014年ブラジルW杯編」は、6月11日に公開。

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