長崎県などが佐世保誘致目指す「IR」 長崎国際大が研究会設置 プラス・マイナス検討、提言へ

 長崎国際大(佐世保市、中島憲一郎学長)は、県と佐世保市がハウステンボスへの誘致を目指しているカジノを含む統合型リゾート施設(IR)が地域に与える影響について調査、検討する研究会を設置する。観光、福祉、薬学の研究者が集まる同大の強みを生かし、IRのプラスとマイナス双方を検証。地域はIRにどのように向き合うべきか、年内に提言する。取りまとめる木村勝彦副学長は「これまで正負両方のデータを集めた上での議論はなかった。地域貢献の視点で取り組みたい」とする。
 同大は▽国際観光学科▽社会福祉学科▽健康栄養学科▽薬学科-の3学部4学科で構成。研究会には各学科の教員など10人程度が参加する。
 現在は、各研究分野に関連するIRの課題や現状について情報を収集している。カジノ利用者の社会階層や経済的条件のデータ、ギャンブル依存症の症例などを集め、夏までに初会合を開く予定。木村副学長は「海外の観光の現場で働いた経験を持つ国際観光学科の教員のデータは強みだ。法学や社会学、貧困問題の研究者もいる。さまざまな観点から影響を考察できる」と意義を強調する。
 IRは、にぎわいや雇用創出などのメリットがPRされる一方、治安悪化の懸念もあるなど、地域のありようや生活パターンを変える可能性もある。このため地域住民に意見を聞く調査にも取り組む予定。
 研究会は年内に提言をまとめる考え。木村副学長は「地域の大学として(IR誘致の)可能性がある段階から利益と問題点の両方を分析する責任がある。負のインパクトを抑えながら、正のインパクトを最大化する方法を考えたい」とした。
 政府はIR整備法案の今国会での成立を目指している。4月には県・佐世保市IR推進協議会の有識者会議が基本構想を発表。経済波及効果は6300億円と試算している。

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