第70回長崎県高総体「総評」 高校スポーツの魅力発信 熱戦の歴史、継続を

 87校から約1万1500人が参加した長崎県高校総合体育大会70周年記念大会は8日、32競技(駅伝は11月開催)の全日程を終了した。ノーシードからの優勝、ハイレベルな競り合い、伝統校のV奪回-。節目の大会となった今年も、数々の熱戦ドラマが歴史に刻まれた。高校生アスリートが躍動した8日間を振り返る。
 
 ■ひた向きさ
 団体や総合優勝校が手にする男女計53本の優勝旗(参加1校の競技はなし)は26校が獲得。このうち、大村工、九州文化学園、瓊浦、島原、長崎鶴洋、長崎北、長崎日大、長崎北陽台が最多の3本を勝ち取った。
 今年も連覇は6割超。一方、サッカー男子の長崎日大、バスケットボール女子の長崎女、空手男子組手の瓊浦など6チームが10年以上遠ざかっていた頂点に返り咲いた。
 中でも、サッカー男子の長崎日大はノーシードからの快進撃。2回戦で第1シードの長崎総合科学大付に1-1からPK戦で競り勝ち、55校のトップに駆け上がった。「力のある相手でも、諦めずに戦い抜く」。このひた向きな気持ちが勝利を呼び込むという高校スポーツの醍醐味(だいごみ)をあらためて教えてくれた。
 初優勝を飾ったのは競泳女子の長崎北とボート男子の佐世保高専。それぞれ創部50、51年目で、地道な部活動の継続がもたらした快挙だった。新しい力の台頭は上位常連校の刺激になると同時に、その競技のさらなる活性化が期待できる。
 
 ■強化の過程
 白熱のライバル対決も大会を盛り上げた。ソフトボール男子は、3月の全国選抜大会で4校同時入賞(雨で準決勝、決勝が中止)した大村工と、4月の県春季選手権を制した島原工が全国トップレベルの決勝を展開。結果は大村工が2-1で4年ぶりに夏の全国切符をつかんだ。
 ハンドボール男子決勝も例年のように息詰まる接戦となり、長崎日大が延長の末、V3を狙った瓊浦にリベンジ。この2競技は、県内の強力なライバル同士の競り合いもあって、高いレベルの競技力を維持している。
 強化の過程はさまざまで、今大会4連覇を飾ったバドミントン男子の瓊浦や柔道女子11連覇の長崎明誠をはじめ、県内で頭一つ抜けた有力校も多数存在する。そんなチームの共通点として挙げられるのは、熱心な指導者による質の高い練習、しっかりした目的を持った遠征、学校の積極的支援など。強化策を模索しているチームは「他競技から学ぶ」という姿勢も取り入れてみてほしい。
 
 ■輝ける舞台
 歴史を感じさせる優勝もあった。テニス男子の海星は東口亨前監督と嵩監督が親子で20連覇を達成した。バスケットボール男子を制した長崎西の井上聖也選手は、OBでもある祖父、叔父が16回大会、45回大会の各優勝メンバー。3世代でチームの栄光をつないだ。
 これらは、大会が回数を重ねてきたからこそ生まれた偉業。高校生アスリートが最高に輝ける舞台は、周りで支える多くの人たちの汗によって成り立っている。その場所を用意してもらえることに感謝しながら、高校スポーツの祭典が70年のその先も続くことを願う。

12年ぶりの優勝を果たしたサッカー男子の長崎日大。最後まで諦めない気持ちの強さでノーシードから勝ち上がった=諫早市、トランスコスモススタジアム長崎
団体、総合上位入賞校

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