宿泊料の一部が寄付にーー東京に新たなホステル誕生

不動産テックの「イタンジ」 (東京・港)は8月1日、使い捨てのアメニティなどを使用しない場合、宿泊料金のうち途上国の給食1食分に当たる20円がアフリカ・アジアの子どもの食料問題に取り組むNPO「テーブルフォーツー」の活動に寄付されるサステナブルホステル「KIKKA(キッカ)」を東京・東神田に開業する。施設内で飲料を購入した場合にも同額が寄付されるなど、施設の活用が寄付につながる仕組み。ターゲットは、社会の課題に関心が高い国内外の若年層だ。(オルタナ編集部=小松 遥香)

ホステル名「キッカ」は、コンセプト「新しい出会いや気づきのきっかけが生まれる場所をつくる」の中の「きっかけ」という言葉に由来する。2-6階にある客室は、カプセル型の客室とバルコニー付きの個室の2タイプ。1階にはカフェダイナー、地下1階にはコワーキングスペースとバーがある。

「2人のための食卓」を意味するNPOテーブルフォーツーは、先進国で暮らす人と途上国の子どもたちが食事を分かち合うという理念のもと、途上国の食料問題と先進国の肥満・生活習慣病の解消に同時に取り組む社会貢献運動「TABLE FOR TWOプログラム」を実施する。

同プログラムは、社員食堂や店舗で同団体が定める基準を満たすヘルシーメニューを購入すると代金のうち20円が寄付され、途上国の子どもに1食分の給食が届けられる仕組み。これまでに、約6000万食をウガンダやエチオピア、フィリピンの子どもに届けた実績を持つ。

キッカでは、「使い捨てのアメニティを使用しない場合」や「シーツやタオル交換を希望しない場合」は宿泊料金から20円が寄付され、「ドリンク・アルコールの購入」「コワーキングスペースの利用」「おにぎりセットの購入」でも同額が寄付される。

「おにぎりセット」は、ベストセラー「作ってあげたい彼ごはん」で知られる人気料理家SHIORIさんとのコラボレーションで生まれた。日本の食文化を楽しんでもらうため、47都道府県の特産物や郷土料理を使った「にっぽんおにぎり」を提供するという。

テーブルフォーツ―広報担当の大宮千絵さんは、「『宿泊』という行動の中で起きる余分なものを削減し、その分で世界の子どもたちに給食を提供するという価値を生み出し、循環させる仕組みを創ることができ、大変嬉しく思う」と話し、「食堂のヘルシーメニューで気軽に寄付できる取り組みとして広がってきたものが、宿泊施設との全面的なタイアップにより、より広く皆様の生活の中でご参加いただきやすいものとなって欲しい」と期待を込めた。

イタンジ広報部の安藤のこさんは、「寄付したお金がどのように使われたのか、施設内に写真を展示するなど計画している」と話した。

キッカでは寄付や日本の食文化の継承のほかに、コロンビアの契約農園からフェアトレードで仕入れるスペシャリティコーヒーの提供や資源の無駄な消費を削減するなどしてホテル運営を通して持続可能な社会に貢献したい考えだ。
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