トロロッソ・ホンダF1密着:ガスリー、次戦フランスGPに向けペナルティ覚悟のPU交換か

「今日の自分の走りと、いいポジションを獲得するためのチームの努力に満足している」

 予選で12番手を獲得したブレンドン・ハートレーは、チームへ感謝の言葉を贈るとともに、忠誠心を示した。 

 モナコGPに続いて、シート喪失の噂が飛び、質問が相次ぐ中で迎えたカナダGPは、ハートレーにとって、難しい状況の中で戦わなければならないグランプリとなった。それでも始めて走るモントリオールで、ハートレーは今シーズンの自己ベスト予選となった第2戦バーレーンGPの11番手に次ぐ、12番手を獲得した。

「最後のアタックは完璧じゃなかったけど、詰められたとしても、コンマ1秒ぐらいだったから、今日はQ3へは進出できなかったと思う」というハートレーはスタート時のタイヤを自由に選択できる者の中で最前列を確保した。

 しかし、予選後の田辺豊治F1テクニカルディレクターの表情は厳しかった。チームメイトのピエール・ガスリーのパワーユニットにトラブルを発生させていたからだ。

 問題が起きたのはフリー走行3回目の終盤。ピットに帰ってくるインラップの最後の直線区間で、ガスリーが「パワーを失った」と言って、ピットインしてきた。

 ホンダは予選までの時間を考慮して、すぐさまガスリーのPUを過去に使用済みのPU(前戦モナコGPまで使用していたもの)にユニットごと交換する決断を下した。

「非常に残念です。また、ここからいろいろと学ばなければならないと思っています」(田辺TD)

 予選終了時点でのガスリーのスタートポジションは16番手だが、日曜日に変更が起きる可能性がある。それはレース前に、もう一度、ガスリーのPUを交換する可能性があるからだ。ただし、それは予選で走らせたPUにもトラブルが起きたからではない。予選を走らせたPUはバーレーンGPから使用しているため、カナダGPを終えると、約6戦を走ったことなり、次戦がガスリーの母国グランプリであるフランスGPでは7戦目となる。

 もし新しいPUを投入すれば、地元でペナルティを受けることになる。つまり、ペナルティを受けて新しいPUを投入するなら、予選が16番手に終わった今回のほうが得策だという考えがあるからだと思われる。

「このグランプリだけでなく、次のフランスGPをガスリーが気持ちよく迎えてもらうためにどうしたらいいのかを含めて考えたい」(田辺TD)

 予選後サーキットでは、昨年復活した「いかだレース」が開催されていた。その楽しい雰囲気を尻目に、ホンダのスタッフは日曜日に向けた難しい決断と向き合っていた。

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