めぶきビジネスアワード、杉田電線が最優秀賞 カーボンナノチューブ線材の応用開発

 杉田電線(本社・さいたま市岩槻区、社長・杉田幸男氏)は軽量・高強度なカーボンナノチューブ線材を利用した応用開発で「第2回めぶきビジネスアワード」の最優秀賞を受賞した。常陽銀行と足利銀行を傘下に置くめぶきフィナンシャルグループなどが主催するビジネスコンテスト。革新性と将来のビジネスに結びつく実現性に加え、社会・地域への貢献など多角的な視点から事業が評価される。杉田電線は637件の応募の中から最優秀賞に輝いた。

 8日に栃木県宇都宮市の宇都宮グランドホテルで行われた表彰式では杉田社長が、めぶきフィナンシャルグループの寺門一義社長から賞状を授与された。

 カーボンナノチューブは炭素原子を六角形に結合したシートを、円筒構造に形成した物質。引張強度は銅の数十倍で重量は約7分の1となっており、導電性も有する。杉田電線では連携する大学の技術と長年培ってきた電線製造のノウハウを融合し、昨年からカーボンナノチューブ線材を月間約1千メートル製造する能力を整えている。

 杉田社長は「試行錯誤を重ねながら技術が形になってきた。関わってきたすべての人たちに感謝したい」と受賞の喜びを語った。現在は医療機器向けセンサで応用に取り組んでおり、今後は電線や人工筋肉などにも適用範囲を広げる方針。めぶきフィナンシャルグループの寺門社長は「今回は実現性の高さにウエートを置いて評価した。受賞企業には地域経済のけん引役になってほしい」とした。

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