地産ハーブで新調味料 明大生、メーカー・農園と開発

 明治大農学部食料環境政策学科(川崎市多摩区東三田)の本所靖博専任講師(49)のゼミ学生12人が、近くにある農業体験施設で栽培したハーブを原料に、群馬県の老舗しょうゆメーカーの技術協力を得て調味料の商品開発に乗り出した。ハーブを使ったドレッシングなどの製品化を視野に、試作品を来年3月までに完成させる予定だ。

 ゼミ生たちは、地域資源を活用した食と農の課題解決を研究する中で、川崎市北部で販促活動を行っている同県館林市の「正田醤油」統括マネジャー吉川雅夫さん(53)と出会い、国産原料へのこだわりで共感。以前から交流のある多摩区東生田の農業施設「トカイナカヴィレッジ」を加えた3者で新しい調味料開発を進めることになった。

 4月に同県を訪れ正田醤油の工場を見学、5月にはトカイナカヴィレッジの畑を借りてスペアミント、セージなどハーブを植え付けた。今後は日本の伝統調味料を研究した上で、地元で採れたハーブを使った新商品の試作、販促のマーケティング調査を行う。

 3者は5日夜、幸区で商品開発の概要を発表。農学部3年の徳島あいかさん(21)は「国産原料を使い安心して食べられる調味料が目標。ゼミでしか作れない商品を開発する」と抱負を語った。

 同じく尾崎萌子さん(20)は「生野菜をおいしく食べられるよう添加物のない安心なドレッシングを作りたい。それぞれのハーブの特徴を生かした味にしたい」と新商品の具体的な方向性を説明した。

 ゼミ生たちは、現在市場に流通している調味料について調査した上で、来年3月まで試作を繰り返す。本所専任講師は「どこにもない新商品を開発するため、川崎市内の農家を訪ね歩いてデータを集め、商品化につなげたい」と話している。

 ハーブは7月下旬から収穫が始まる予定。同大黒川農場(麻生区)の秋の収穫祭や学食などで試作品を提供し、出来を検証するという。

 ハーブ生産をアドバイスするトカイナカヴィレッジの西山雅也さん(52)は「新商品は若手農家のやる気にもつながる。販路を探したい」と応援していく。

調味料の商品開発を行う明治大農学部の本所専任講師(手前中央)、ゼミ生の徳島さん(同右)、尾崎さん(同左)と協力する農業体験施設やしょうゆメーカー担当者 =川崎市幸区のロックヒルズガーデン

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