〔十勝岳〕一時的な火山性地震の増加や継続時間の短い火山性微動を観測(6/11)

札幌管区気象台は11日15:15、北海道の十勝岳について「火山の状況に関する解説情報(臨時)第1号」を発表し、今後の火山情報に注意するよう呼びかけています。
十勝岳では、5月29日と6月8日に火山性地震が一時的に増加したほか、6月5日から10日にかけて、継続時間が短い火山性微動が5回発生しています。監視カメラによる観測では、62-2火口や振子沢噴気孔群では2015年以降、噴煙高の高い状態が続いています。また、6月6日から7日にかけて実施した現地調査では、62-2火口や振子沢噴気孔群で、昨年秋の観測時に比べ、噴気量の増加が認められています。GNSS連続観測では、2006年以降、62-2火口直下浅部の膨張を示すと考えられる変動が観測されています。

十勝岳では2006年以降、山体浅部の膨脹が継続する中で、噴煙高の高い状態、地熱域の拡大や温度上昇、地震の一時的な増加など、火山活動の活発化を示唆する現象を観測しています。噴火警戒レベルは1(活火山であることに留意)を継続していますが、今後の火山活動の推移に注意が必要です。登山者等は地元自治体などの指示に従って火口付近など危険な地域には立ち入らないでください。

◆用語解説「噴火警戒レベル」
・火山活動の状況に応じて警戒が必要な範囲や、とるべき防災対応を5段階に区分して発表する指標で、避難や規制の対象地域は、地域の状況や火山活動状況により異なる。
【レベル1(活火山であることに留意)】:状況に応じて火口内への立入規制等。

◆十勝岳:最近の噴火活動の状況
※十勝岳は多数の火山体からなり、古期・中期・新期の火山群に区分され、最高部(十勝岳)は中期の最後に形成した溶岩ドーム。その北西側には新期のグラウンド火口、中央火口丘、摺鉢火口丘などがある。1926年噴火の大正火口、1962年噴火の62-2火口は噴気活動が盛ん。下記記載年月以外でも、火山性微動や火山性地震などの火山活動が都度活発化している。

<1925~28年>
・水蒸気噴火相次ぐ。
・1926/05/24 マグマ噴火 中央火口丘の北西部が破壊され、熱い岩屑なだれが積雪を溶かして大規模泥流発生、 2カ村(上富良野・美瑛)埋没。死者・行方不明144人、負傷者約200人。

<1952~62年>
・水蒸気噴火相次ぐ。
・1962/06/29 22:40頃、中央火口丘南側湯沼付近から噴火。噴石により大正火口縁の硫黄鉱山事務所を破壊。死者5人、負傷者11人。07/05頃までマグマ噴火続く。

<1985~89年>
・噴火活動活発化。

<2004年>
・02/25~/26 ごく小規模な水蒸気噴火。

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