マサチューセッツ工科大学の研究者が自立飛行ドローン訓練にVRを使用

Image: William Litant 完全な自立飛行は至難の業である。一番簡単かつ明確な障害は操縦の点にある。自立飛行システムを開発しているコンピューターサイエンスの研究所の結果によると、高価なドローンの部品をもとに戻さなくてはならないような故障が定期的に起こってしまうとのことだ。

マサチューセッツ工科大学(以下:MIT)の研究者はドローンを「訓練」させるのが格段に簡単になるような新しい手法を開発した。VRトレーニングプラットフォームを利用すれば、障害物が何もない広い空間であっても、VRの中で本物の障害物を認識し、それを避けながら飛行できるようドローンを訓練させることが可能だ。

■FPVパイロットの使用

ドローンの「幻覚状態」を引き起こすシステムは「フライト・ゴーグル」と呼ばれており、MITではそのシステムを利用して、複雑な状況下でも飛行後に部品を回収する必要もなく飛行できるようにドローンを訓練している。その訓練の目標としては、高速で障害物をよけつつ、作業をこなさせることである。しかし、訓練チームとしては本物のFPV(一人称視点)パイロットを利用してこのテクノロジーを立証したいと考えている。

マサチューセッツ工科大学航空宇宙工学教授セルタック・カマラン氏は語る。

これはドローン技術、特に高速で飛行できるドローンの開発に変革をもたらすでしょう。いうならば、そのシステムは自立飛行機がより反応しやすく、高速で、効率よくなれるようにしてくれるでしょう。 2、3年後には、自立飛行型ドローンでドローンのレーシング大会に出場し、人間により操縦されたドローンを打ち破りたいと考えています。

VRを利用したドローンの訓練を作り上げるということは、単にバラバラになった部品をもとに戻すのに費やす時間と費用を節約するということではない。ドローンが難しい状況で速く飛べるようするためには、ドローンが高速で視覚情報を処理するようになる必要があり、このシステムはその訓練の役に立つのだ。

ハイスループットコンピューティングしたく、速く進みたいと思った瞬間、操縦者が引き起こした本当にちょっとした環境の変化でさえも、ドローンを墜落させてしまう。そのような環境では速く飛べるようにはならないでしょう。もし本当に現状の飛行速度やコンピューティングの速度を超えたいのなら、VRを使用した練習環境が必要となってくるでしょう。

■フライト・ゴーグルを使用してドローンを幻覚状態に

フライト・ゴーグルVRトレーニングキットにはモーションキャプチャーシステム、イメージレンダリングプログラムがついており、またエレクトロニクスにより画像を瞬時に処理しドローンに送信することができる。

ドローンにとってどんなに困難な状況に思えても、実際トレーニングを行っている場所と言うのは、MITの新しいドローン実験施設にあるジムなのである。モーションキャプチャカメラが壁沿いに並び、何もない空間を飛行するドローンの位置確認を行うのに使用されている。

イメージレンダリングシステムを利用して、MITのチームはそのドローンのために特注で作られたシーン映像を飛んでいるドローンに使用することができる。

ドローンは何もない空間を飛行していますが、それとは全く違う空間にいるという幻覚状態になります。そしてその幻覚でみている空間で訓練をうけるのです。

カラマン氏は解説する。最終的にはそのシステムを利用して、ドローンが人間を認識し人間との衝突回避のために動きを予測することで人間と協力して働けるように訓練できるとカラマン氏は信じている。カラマン氏によると、人間が動き回ることで人間が動的な障害物となり、ドローンがそれをよけて進むという訓練を行う為MITの実験施設を二つに分けることができるという。

いつか、自信がついたらVRの世界から出て実際に人間が走り回っているような環境でも安全に飛ばすことができるでしょう。VRの世界では、実世界ならハラハラさせられるような実験もできます。そのうち、VRを使ったトレーニングで何ができるのかをみなさんにお披露目したいと思います。

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