被爆体験を後世に引き継ぎたい 「家族・交流証言者」募集 現在55人登録 長崎市の認定で各地へ派遣

 長崎県長崎市は被爆体験を語り継ぐ「家族・交流証言者」推進事業の参加者を募集している。身内に被爆者がいなくても体験を受け継ぎたい人や、被爆者健康手帳を持っていなくても自らの被爆体験を後世に託したい人も対象。本年度は、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館(長崎市平野町)が窓口となり、国の事業で市外に無料で派遣を始め、証言者の活躍の場が広がっている。
 事業は被爆体験の次世代への継承を目的として、長崎市が2014年度に募集を始めた。証言者は6月11日現在、55人が登録し、市が認定した21人が講話できる状態にある。認定を受けた最年少は16歳、最年長は76歳。
 事業に参加すると、「証言者」となる体験を受け継ぎたい人と後世に託したい人が出会う交流会で、まず顔合わせをする。その後、個人やグループで証言者が、被爆者らの体験を聞き取る。証言者は個人差はあるがおおむね半年から約1年かけて、人前で話す研修やスクリーンに資料を映しながらパソコンを使う研修をする。最終的に被爆者や市職員ら向けに講話をして長崎市の認定を受ける。
 長崎市によると、昨年度の証言者の県外派遣は宮崎と島根へ2件だけだった。同祈念館によると、本年度は国の制度により、すでに市外から78件の申し込みがある。中でも学校からの申し込みが多く、長崎に修学旅行をする事前の平和学習を理由にした派遣要請が相次いでいるという。
 長崎市被爆継承課は「興味がある人は、ぜひ参加してほしい」と呼び掛けている。9月15、16日の午後2時半から、長崎市平野町の長崎原爆資料館の平和学習室で交流会を開く。申し込みは8月31日まで。長崎市被爆継承課(電095・844・3913)。

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